5月5日(金)    大丹生(晴れ)  小潮

 「穴場、穴場」と考えているうちに、舞鶴の三浜を思いついた。この釣り場は磯際にあり、水深が結構あるらしい。この時期、浅場が当然中心になるが、早々に産卵を終えたチヌが深場で一服しているのを釣る作戦だった。ただ心配だったのが、三浜は全くの外洋なので揺れの問題だった。当日は少し早めの3時に自宅を出発し、途中団子(小)、ボケ40、オキアミ小ブロック、サナギを購入した。合計3900円。釣り場には5時前に到着した。しかし、ものすごい強風。浜辺でキャンプをされている人のテントが飛びそうだ。海も白波が立っている。唖然・・・。完全に戦意喪失。筏の場所も確認しないまま、撤退を決めた。湾内に引き返すも、平、千歳も強い風。こんな時は大丹生しかないと思った。大丹生には5時15分頃到着した。

 荷物をおろしていると、防波堤のお客さんを送って戻ってきたおじさん発見。手を振って呼んだ。おじさんに会うのは久しぶりだった。「昨日、和田君が来て、・・・」「・・・、○○さん?」「そう、それで1枚釣った。あのカセや。行くか?」「うん、行く、行く。」釣られたのはだんごさんだった。「この時期に釣られたんや。すごいな。」釣れると思ってなかったので、やる気がでた。防波堤際のカセにあがったのは5時半過ぎだった。まずはボケの落とし込み。期待したがアタリはない。しばらく試した後、今度はいろんな方向に投げてみる。防波堤際に落とし込んだ時、小さいが明確なアタリ。一瞬ドキッとしたが、釣れたのはガシラだった。そうこうしているうちに、向こうから釣り人を乗せた船がやってきた。だんがさん登場!私が先に乗ってしまっていたため、だんごさんは隣のカセに乗られた。

 落とし込みを諦め、団子を投入。しかし、魚の気配は全く感じられない。潮も澄んでいる。朝の勢いはなくなり、釣れる気がしない。おまけに強かった風も9時頃には収まり、「やっぱり、少々無理してでも三浜に乗るべきだったのでは。」という後悔が強くなる。集中力がどんどん低下した。昼までに2回、カセを防波堤に近づけてよじ登り、だんごさんのカセの側に行って防波堤の上から話した。だんごさんと話すと元気になれた。

 13時半頃より、もう一度気分を変えて頑張る。と言っても思いついたのは、団子を柔らかめにして、打つペースを速め、濁りを出すことと、アピールするためにボケをこまめに投げまくることだった。しかし、団子の濁りに関しては、効果的なのか逆効果なのか自信がなかったので、とりあえず15時前には全弾投入し終えた。後はボケを納竿まで投げるだけだった。15時10分、追い風にのせてボケを投げた。糸がななめに張って着底するかどうかというタイミングで、当日初めて穂先がクッと押さえられた。即アワセ。「おおおー、かかったぞ!?」釣れるとは思ってなかったので、ビックリして何が起こったのか、一瞬理解できなかった。かけた感触では、アワセのタイミングが遅れ、向こうアワセのように感じたが、2度アワセを入れる余裕はなかった。「強い、強い。はずれるなよ。」やっとの思いで巻き上げると、まさしく魚はチヌだった。あせって1度すくい損ねたが、2度目ですくった。「やった〜。」時合い到来と思い、さらに集中するが、15時半頃、1度微妙なアタリでボケを取られた以外は、アタリなく18時に納竿とした。

 当日の釣りであるが、退屈な時間が大半だったが、結果的には大変満足できるものだった。5月に大丹生で乗っ込みチヌを釣ったことはなかったし、この時期はどの釣り場でも1枚釣るかどうかの釣りなので、少ないチャンスをものにできたことはうれしかった。きっと釣れるという希望を持ち続けて釣りをすることの大切さを感じた。また釣れたチヌであるが、通りすがりのチヌなのか、団子に寄ってきたのか、当日は判断できなかったが、腹の中からはサナギが5,6個分、オキアミ1匹、イガイ1個分が出てきた。多少は団子の効果はあったということだろう。

 筏からあがり、40分ほどだんごさんと話した。私が来てしまったので、おそらくだんごさんの当日の釣りプランを狂わせてしまったと思う。また、だんごさんの乗られたカセは私のより一回り小さく、風のため揺れて厳しかったはずだ。防波堤にもよじ登れないカセだったし。でもだんごさんはそんなことを全く表にだされない。釣れても、釣れなくても大丹生の海に浮かぶことを大事にされている方だ。私の1枚もだんごさんがいなければ、とうにやる気を失い、釣れなかったと思う。

 だんごさんに挨拶し、帰路についた。暑いので、車の窓を開けて走っていると、舞鶴市内を抜けたあたりからカエルの大合唱が聞こえてきた。懐かしさと初夏を感じた。


 

釣果:1枚(43.5p)