6月17日(土)     白杉(曇りのち小雨)  小潮

 仕事でへとへとな時ほど、海が恋しくなる。今回は佐藤さんと山弘渡船にご一緒させてもらうことになった。自宅を3時前に出発。途中、団子(中)、丸貝、サナギ、シラサ1杯。合計4000円。4時半に集合のはずが、3件の餌屋さんとコンビニに寄ったため、到着したのは4時35分。遅刻だ。渡船場に着くと佐藤さんと山弘のおじさんが、笑顔でむかえてくれた。朝から余分な緊張をすることもなく、ほんわかした雰囲気で出船できる釣り場はいい。

 手前の筏に降りて、釣りを開始したのは5時前だった。まずはシラサの落とし込みから始めた。なんの反応もない。大きく誘うと何かがさわるが、シラサは無事。佐藤さんの方には多少外道がいるようだったが、状況は似たようなものだった。30分ほどシラサで探ったが、ダメだったので今度は丸貝に変えた。5時45分頃だったか、丸貝に小アジかヒイラギがさわったようなアタリが一瞬あった。集中するがその後は何の反応もでない。あげると丸貝がなかった。「あれ・・・?はずれたのか?」5分くらいして、また同じような感じで丸貝がなくなった。「こんな取り方するのは、チヌやと思うけど。でも、あまりに朝一のアタリとしては小さいな〜。それともフグか?」外道の状況もわからないので、半信半疑の状態だった。6時頃、佐藤さんのしばらく放置したサナギがスパッと切れていた。丸貝のことを話すと佐藤さんにも同じようなアタリがあったらしい。チヌがいるように思えてならない。気配を感じるとはこのことか。しかし、その後は全くアタリがなく30分が更に経過した。6時20分ごろより団子投入。サナギハリス団子を多用するが、アタリはでない。

 7時20分、なぜか自分ではなく、佐藤さんの穂先を見ていると、チョンチョンと小さなアタリがでた。「おーー。」そして一呼吸してクッと入った。「あ!」すかさずアワセが入る。釣りのビデオをみているようだ。竿の曲がりからしてチヌだ。しばらくのやりとりのあと、佐藤さんが中型のチヌをGET。「やったー!」佐藤さんにとっては、8ヶ月ぶりの釣行だったが、一発のチャンスを見事にとらえた瞬間だった。二人で喜んだ。「やっぱりチヌいるぞー」気合いを入れ直す。8時頃、サナギにアタリ。といっても明らかに変。時々ひっぱられるが、あわせるようなアタリではない。しばらくして適当にあわすと何かかかった。あげてくると大きなワタリガニだった。手の長さは15,6pはある。右手をつかんで、からまった糸をはずそうとすると、予想外の素早さで左手を伸ばして手の甲を挟まれた。「いててててーーーー。」挟まれた手を振り回すが、なかなか離してくれない。やっと振り放した時には、挟まれたところに10カ所ほど穴があき、血が出ていた。「くそ、この野郎。」糸を切って、海に落とそうとすると、右手でエビブクのビニール管を挟んだ。「やめろや、穴あくやないか。」両手ではさみをあけようとしたが、ヒラタクワガタのあごの力の100倍くらいありそうで、あかない。しかももう一方の手を伸ばしてくる。仕方ないので、そのまま放置して釣り続けた。10分たっても同じ姿勢でカニはビニール管を挟んでいる。憎らしくなってきた。ふと妙案が!!ライターではさんでいる手をあぶることにした。しかし、あぶっても表情も変えずはさみ続けるカニ。「こうなったら、焼きガニになるまでやってやる!」と思った瞬間、カニは腕をはずし、すごいスピードで走って海に落ちた。ビニール管にはさみをのこして・・・。

 カニとの戦いに勝利し、多少すっきりしたが、アタリはない。9時前より、餌をイガイの稚貝団子に変更。イガイの1個刺しには反応がなかったので、試していない最後の餌だ。投入後しばらくして、さわった気がした。稚貝の数が減っている。同じようなことが、2,3回あった。「チヌなのかな〜。もしそうだとしても渋いな。」丸貝に変えた。アタリなし。何度か、適当に上下に誘った後、丸貝をさわった。「チヌや!」早朝の二の枚にならないように、構えた。細かくさわっているが、いつやむかもしれない。「うーーん、どうしよ。」10秒くらい経過したところで、「もう限界、あわせよ。」と思った時、押さえた。「のった!」何度か結構強い締め込みがあった。最初は40p級かと思ったが、上がってきたのは中型チヌだった。ボウズをまぬがれてホッとした。「やっぱりチヌはいる。がんばろ!」しかし、期待に反してその後はうんともすんとも言わなくなった。


 時間だけが経過していく。突然のアタリに備えて、集中してやったつもりだが、だんだんあきらめの雰囲気が強くなった。ほんとに佐藤さんとは久しぶりの釣行だったので、いろいろ話して楽しかったが。納竿間際に、佐藤さんに1度だけアタリがあった以外は、緊張する場面なく5時に竿を納めた。餌屋さんにも、筏師があまりいなかったくらいの時期だから、二人とも釣れたのには満足しなければならないとは思う。でも、忙しい中、久しぶりの釣行だった佐藤さんの気持ちを考えると、あと1,2枚釣れるとよかったと思い、残念だった。5時半、舞鶴を後にした。明るいうちに帰路につくことが少ないので、173号線沿いの山間の農村の風景が新鮮だった。

釣果:1枚(35p)