8月3日(木)     大丹生(晴れ)  長潮

 前回の大丹生は何となく中途半端な結果に終わったので、大釣りか撃沈かはっきりした結果が欲しかった。そうでないと大丹生にこだわってしまう気がした。3日、仕事が休めるようになったので行くことにした。当日、出発しようと思い車のトランクを開けた。「・・・、竿ケースがないーーー。なぜ?うーーーん、考えられるのは前回大丹生に忘れて帰ったとしか・・・。」とりあえず、昔の竿を1本、車に乗せて出発した。道中、竿が大丹生にあるか、気になって仕方なかった。前日予約の電話を入れておけば、そんな心配はいらなかったのだが、あいにく予約の電話を入れる習慣はない。途中、前回同様の餌を購入する。なか卯で、きつねうどんを食べて、大丹生には4時半頃に到着した。

 4時40分、おじさんを起こす。出てきたおじさんに竿のことを聞くとすぐに小屋から出してくれた。「よかった〜。」やっと落ち着くことができた。おじさんには、しゃべりすぎと笑われた。がじろうさんとの会話に集中して車の横に置いて帰ったらしい。すぐに出船。筏も前回の筏に乗った。40分ほど落とし込みをしたが、反応はないので、団子投入。6時には表層にコノシロ登場。外道の寄りが早いと思ったが、底には何もいない。潮も全く動かない。7時には、苦戦を覚悟した。とにかく打ち返して、うわずった魚を底に降ろそうと考えた。打ち返せば、底に魚が降りるのかは確証はないけど。「暑い、全く反応がない・・・。」

 11時、表層のコノシロは消えたが、やっと底でボラの反応が出始めた。一歩前進。本当は昼は一度休憩に陸に上がる予定だったが、そのままがんばった。14時、餌はまだ一度も取られないが、ボラの団子への活性は前回並になってきた。「もしかしたら、ここまでかもしれないが、後一歩かも。」15時、よい方の予想があたり、底でのボラの活性は、去年一度も体験したことがないほど上がった。堅く握っても1分ほどで割れる。餌はかじられることはなかったが、もうチヌがいてもおかしくなさそうな状況に思った。3時半、フグかカワハギか、サナギがつつかれるようになった。ボラやコノシロ以外の魚も活性が上がっている。この時点で、夕方7割くらいの確率で時合いがあるという気がした。「チヌも必ず寄ってくる。」16時前、団子から抜けたサナギや丸貝へボラやコノシロがあまりさわらなくなった。願ってもない状況になった。「絶対、釣れる!」

 16時、団子から抜けた丸貝にアタリ。「かかった!大きくないがチヌの引きだった。よっしゃ、とうとうきた!!!」しかし、姿が見える直前にバレた。バレたことは残念だったが、上でのバラシだったし、長時間かけてつくったこの状況で、通りすがりのチヌとは思えなかったので、全然気にならなかった。4時10分、今度は団子をボラが割ってしばらくしてサナギにアタリ。「よし、チヌや。さっきより良型や。慎重にとるぞ!」魚は、筏下に入ろうとするが、無理をせず耐える。ところがしばらくするとゴリゴリする感触。「あれ、そんなに入られてないのにロープか。」切れると思ったが、なぜか巻ける。そのうちすごく重くなった。「いよいよ、完全にロープやな・・・。」でも、巻ける。なかなか片手では巻き上げられない。何が起こっているのか全然わからない。時々ラインを通して魚の感触がある。「いったい、なんなんや?」巻けば巻くほど重くなる。おそらくラインの弾力が減り、竿に重さが直接かかっているからか。このままでは竿が胴から折れる。仕方ないので、手で引き上げる。ラインが手に食い込む。10分ほど経過しただろうか、何か見えてきた。扇風機の頭よりもデカイ障害物がついている。更に驚くことに、その障害物に良型のチヌがへばりついている。「なんとか、あと2メートル半。切れるな。」しかし、現状が把握されてから1分後、無情にも切れた。ラインの弾力、竿の弾力もなくなり、2メートルのラインでは耐えられる重さではなかったのであろう。竿で巻いていたら、もしかしたら可能性があったかもしれないが、竿が折れたかもしれない。そして、切れた障害物はチヌをぶら下げたまま海底へと戻っていった。「最悪・・・、最悪や・・・。なんでこんなことに。最悪や。」はっきり言って、底で切れてくれた方が結果的にはよかった。いつの間にか穂先も1関節折れていた。

 このあと、あれだけあった魚の活性が消えたことは言うまでもない。何度も釣りでは悔しい思いをしてきたが、大物をばらしたよりはるかにショックを受けた。10時間かけてつくった最高の状況が考えられないハプニングでパーになった。「なぜこんなことに・・・。最悪。」同じ思いが何度もぐるぐる回った。おじさんが漁に出かけたため、その後2時間、むなしく海を見つめた。

 今年の舞鶴は、去年に比べてはるかによい。いろんな釣り場に行ってみたい。今回で大丹生にいったん区切りをつけようと思っての釣行だった。しかし、思い出したくないほど悔しい。「勝負だ、大丹生!近いうちに行くからな!」

釣果:「恐るべし大丹生」