1月12日(土)     長浜(雨)

 火曜日、がじろうさんから長浜でイガイで3枚上げたという連絡をもらった。「やるな〜。イガイ使いやな。ならば、私は上佐波賀で牡蠣で釣ろう。いや、前回行った一本松渡船も行きたい気もする。でも長浜も調子よさそうやな・・・。」木曜日の夜、上佐波賀に連絡するとチヌはあがっていないらしい。もちろん釣り人も少ない。「そうか・・・、釣れてないか。でも人が来てないならチャンスか!いやいや、いつも強欲なことを考えて失敗してる。人が釣れないなら自分も釣れないと考えるべきか。」次に一本松渡船さんに電話する。フグだらけらしい。「フグか。前回もいたな〜。丸貝かイガイでやればかわせるけど。マーやんがイガイでやったけど、あかんかったって黒逢会の掲示板に書いてあったな。マーやんがあかんのやったら諦めるべきやな。」そして金曜日になった。天気予報では、釣行予定の12日は大荒れ。特に風が問題だ。「海を少しでも知っていたら、行ってはいけない予報やな。」前日の電話の結果もあって、戦意が低下し、仕事が終わる頃には諦めが相当強くなっていた。ところが18時頃がじろうさんから電話をもらった。何とがじろうさんの釣った筏はその後も釣果がでており、今日は良型ばかり8枚釣れたらしい。「凄い釣れっぷりやな。でも、そんだけ釣れたら流石にその筏は明日はあかんやろ。いや、まだいけるか?隣の筏あたりが釣れたりして。釣れた後追いすると、だいだいやられるし、やっぱり上か・・・。」釣行の迷いは深まった。自宅に帰ってからも、天気予報とみらめっこしながら考えた。大荒れの海に一人で浮いていることを想像した。「上はやめや。渡船場から筏が離れている。すぐに撤退できひんし、あの海に一人は寂しすぎる。行くなら長浜やけど、長浜は北風に弱いし・・・。」決断できないので、とりあえず20時半頃、岡本渡船さんに電話した。「明日、筏空いてますか?」「全部、1人か2人やけど予約はいっとるな〜。」この返事で釣行を諦めようと思った。「明後日はどうですか?」ついでに聞いてみた。「明後日か・・・。あっ!待ってや・・・。明日は東の筏以外は何も予約はいっとらんかった。」「そうですか。ありがとう。」東の筏が本命だが、もう明日は続かないと考え、電話した時から手前の筏に乗る気だった。電話を切ってからもう一度釣行するか考え、10分後岡本渡船さんに再び電話して、手前の筏を予約した。

 当日は4時半過ぎに自宅を出発した。黒鯛釣り具でボケ30、オキアミ1パック、アオイソメ300円を購入、その後他店で丸貝1パックを追加して、6時40分頃長浜に到着した。駐車場に降り立つと予想通りすごい風だ。雨が水平に飛んでくる感じ。「これは・・・、筏には乗れそうやけど。」茫然としていると、がじろうさんが様子を見に来てくれた。がじろうさんと話すと出撃する勇気が出てきた。更にしばらくすると釣り人二人が到着。「東の筏の釣り人か。団子を持っているけど、雰囲気長竿師やな・・・。手前の筏は東の筏向きに釣り座をとるし、長竿と対面か・・・。厳しい。更に風を正面からうけることになる。」不安がよぎったが、ここまで来たら出船するしかなかった。3人をのせて出船。すると、船頭さんが「東の筏にするか?」「え?でも、後で来るかも。」「いや、雨が降ったらこないと言っていた。」とりあえずは初志貫徹と思って断った。船が進む中の短い時間で考えた。「どうしよ。この天気の中、爆釣筏で撃沈はあまりにも悲しい。でも、本当は上に行く気だったのが巡り巡って長浜に来た。船頭さんが言ってくれているのもこの流れ一つかも。素直に流れにのるべきか。それにこの風では手前の筏では思いの場所には座れない。」東の筏に降りることにした。他の二人の釣り人は雁又に行くようだったが、引き返して私が予約していた手前の筏に乗られ、渡船場に向いて長竿を振り始めた。

 まずはイガイをとって、小粒のイガイと付属の細かいゴミを撒く。ボケを落とし込む。反応なし。手繰り上げて、次はオキアミ。風で糸が絡む。ほどく。落とし込む。反応なし。「う〜ん、厳しい。」今度はイガイ。反応なし。「最悪の結果になりそうや。爆釣の後追いでいい目したことないし・・・。」弱気になる。「いや、筏周辺のどこかにはいるはず。なんとか釣る。」しかし、探り釣りをするには筏が雨で滑り、更に激しく揺れるので無理だった。イガイの落とし込みを続けた。イガイでの数投目だったか、着底後すぐ、コツとあたった。次のアタリで合わそうと構えるが、反応はでない。上げるとイガイがない。「うん?チヌ。はずれた?」次ぎもイガイ。またも着底後すぐコツとあたった。待つがアタリはでない。また餌がない。「う〜ん、チヌやと思うけど。アタリがわからん。たぶん、チヌやったらコツの後、モゾモゾあたっているんやろうけど、筏が揺れて判別できない。」イガイを落とし込む。またも着底後すぐコツ。その1秒後のもう一度コツと出たところであわすが素針を引いた。しかしチヌがいっぱいいることを確信した。「チャンスや。次こそ絶対釣らないと。」当然、次ぎもイガイ。着底後すぐにコツ。次のアタリを確認することなく、速攻アワセ。「よっしゃ、やった。かかったぞ!」強い引きに大型を確信する。幸い下へ下へと潜ろうとするので、ロープの心配はない。突っ込みが強かったのは中層までで、その後はやたらに重い。乗っ込み期のチヌのようだった。とうとうチヌが見えた。一発ですくう。「お〜、でかい。」久しぶりに少し震えた。時刻は8時だった。顔だけみると年無しに見えたが少し足らないようにも見えた。タモに入ったまま適当に計ると49p弱。急いでスカリに入れて、イガイを落とし込む。またも着底とともにコツ。即アワセ。かかった。今度の方が引きは強い。「もしかして年無し!」このチヌも底方向にしか引かないので、ヒヤッとすることなく取り込んだ。引きは強かったが、一目で先ほどよりも小さいとわかった。「こ、これは!!爆釣モードや!」妄想がふくらむ。しかし、次の1投にはアタリなし。「警戒したか。」今度は餌を代えてボケを落とし込む。アタリはない。竿をおいて穂先を見つめていると、急に穂先が入った。失敗。「しもた・・・。でもまだいるぞ!」その後も餌をいろいろローテーションしながら落とし込むがアタリはなぜかパッタリ消えてしまった。

 アタリが消えると一気に天気が応え始めた。猛烈な風と冷たい雨。固まったまま、ひたすらイガイをパラパラ撒きながら落とし込みを続けた。1時間がとても長く感じた。9時半頃にはもう上がりたくなった。「でも、まだ2時間しか釣ってない。せっかくやし、もっと釣らな。」頑張った。少し雨が小降りになった瞬間に1枚写真を撮った。


 ボケにはフグのアタリがでるが、その他は全くアタリのないまま時間が経過した。11時、手前の筏の長竿師が良型を釣られた。「ほ〜、チヌ食うんや!向こうは朝から団子を撒いている。団子に寄ってきたんやろな。でも、団子は買ってない・・・。」12時、今度はもう一人の長竿師が釣られた。「時合いは続いている。何とかこっちのチヌも戻ってきてくれないかな〜。」13時、股間付近が浸水。防寒着のチャックの閉め忘れが原因であろう。しかし、もう手遅れ。袖や腰付近も多少浸水している。体力はすでに厳しくなっているが、夕方の時合いにもう1枚釣りたいという執念で粘った。天気は回復の見込みはない。14時半、駐車場に様子を見に来てくれたがじろうさんから電話。「どうですか?」「ぜんぜん、ダメ。疲れて目がかすんできた・・・。」「もう十分ですよ。よくがんばりました。」このがじろうさんの一言で諦めがついた。たまたま、島に渡った釣り人を迎えに岡本のおじさんが出たので、帰りに拾ってもらって納竿とした。

 15時過ぎ、長浜を後にした。帰りにがじろうさんの新居で1時間ほどくつろがせてもらった。生き返った。16時過ぎ、帰路についた。長浜では最初は落とし込みで、昼頃からは団子で夕方の時合いにかける方法がよい気がした。今回の釣果であるが、がじろうさんからの情報と運のおかげだと思う。次回は私が開拓者となって返したい。そうはうまくいかないとは思うが・・・。

           

釣果:2枚(49.5・47)