8月7日(木)     大丹生(晴れ)

 今回はとことん釣りができる条件がそろったので、大丹生に行くことにした。黒鯛釣具店で団子(大)、丸貝、サナギ、氷を購入し、途中牛丼を食べ、大丹生には4時20分に到着した。まだ、暗かったので海をボーと見ながら時間を過ごした。4時40分、明るくなってきたので、おじさんを起こして出船することにした。前回、私が来てからは目立った釣果はないとおじさんは言っていた。ちょっと不安になったが、がじろうさんも今年の大丹生にはチヌがいそうだと言われていたし、大丈夫と思うことにした。特におじさんおすすめの筏もないそうなので、前回と同じ岸寄りの筏に乗ることにした。

 まずはイガイをとって落とし込みから。イガイには白い何かが付着しているものが多かった。もしかしたら高水温でもうすぐイガイは落ちてしまうのかなと感じた。きれいなイガイの固まりを見つけて釣り始めた。まずは釣り座にパラパラ撒きながら、10分ほどやってみるが反応無し。そこで、筏の四隅を順に落とし込んでみるが反応無し。釣り座に戻って15分ほどやるが、やはりアタリはない。団子釣りに切り替えようとした5時40分、初めて小粒のイガイにアタリ。「おお、きたか!」あわせが決まったが、何か変。上がってきたのはシマイサキだった。「グゥーグゥー鳴くな。おまえ、イガイ食うんか。」がっかりしたが、もう一度小粒のイガイを落とし込む。着底後、反応なし。今度こそ、団子の準備をしようとすると、また細かいアタリ。「またか?」あわすと今度は手応えがある。「お、チヌや。これをバラシたら、前回と一緒や。」慎重に取り込んだのは30p後半のチヌだった。1枚目を無事取り込め、早々にチヌがいることも確認でき、幸先のよいスタートをきれたと思った。しかし、その後30分やるがアタリはでなかったので、6時15分、団子釣りに切り替えた。「イガイでは拾うだけ。団子で勝負。」サナギと丸貝で釣るが反応はない。7時半、ブクブクと泡が浮いてくると表層にコノシロが現れた。「いいぞ、早くも魚寄ってきた。きっとそのうちチヌも来るはず。」8時頃からは、たまに団子をボラかコノシロが弱々しく触るが、餌は一度もかじられることなく時間は経過した。

 8時45分、サナギハリス団子にボラの団子アタリでないアタリがでたように思い、アワセを入れた。手応えのある魚がかかったが、それまで1度も餌もかじられなかったので、ボラのように思った。「引きはチヌっぽいけど・・・。」半信半疑で上げてくると後少しというところで筏下に入られた。とにかく正体を見てからと思って、慌てて引っ張りだした魚が、筏下からヌボ〜と現れた。「チヌや!!」1枚目と同型だった。「今日は調子がいいぞ。2分の2や。アタリを100パーセントかけている。しかも今のはハリス団子。我ながらボラの団子アタリと突然のチヌのアタリをよく見極められたな〜。上達したかも!今日は二桁いけそうや。」よい気分だった。10時までは・・・。

 2枚目の後は続かなかったが、必ず時合いは来ると思ったので、根気よく打ち返した。9時50分、サナギハリス団子にチヌらしきアタリがでる。のらなかったが、時合いが来たかなと思った。次のサナギハリス団子は無傷で戻ってきた。「前回の午前中の時合いは、丸貝の方が反応よかったしな。」今度は丸貝ハリス団子。細かなアタリが時々でたあと、突然ズボ。失敗した。500円玉大の丸貝が食いちぎられて上がってきた。「完全に時合いや!来たぞ−!」もらったと思った。しかしながら微妙なアタリからズボまで、その後の1時間で5,6回はアタリがあったが、ことごとく失敗した。食いちぎられた丸貝や潰された丸貝が上がってくる。「・・・、丸貝ぜんぜんあわん。なんという下手くそ。アワセが遅いのか・・・。穂先が入っているのに、かからん。そうかといって、びりびりやるようなアタリはでない。ハリス団子にしているからか。ハリス団子の方が反応いいけど、丸貝だけで落とし込むか。さっき1度サナギでやったらボラやったし・・・。やばいな〜、もう時合いも終わってしまうかも。」先ほどのうぬぼれは木っ端みじんになっていた。11時20分、丸貝で釣るのは諦め、サナギで残された時合いにかけることにした。「丸貝好きのチヌが多いけど、これだけたくさんいるのなら、サナギが好きなのもいるはず。アタリを多く出すより、今はかける確率重視。」サナギハリス団子を投入して、しばらくするとモゾモゾするアタリがでた。先ほどからアワセのタイミングが遅い気がしていたので、あわせた。「よっしゃ、かかった!作戦成功や。」一瞬勝ち誇った気持ちになったが、次の瞬間リールが空回り。糸がふけた。「やばいー」と思うやいなや今度は魚がひっぱり糸ふけが見ている目の前で、ものの見事にハンドルにからまっていった。「どうして、そんなにがっちりまきつけるの・・・」絶句した。その後、魚が筏下に突っ込む。せめて魚が大したことがなければと思ったが、大型間違いなしの強烈な引き込み。どうすることもできずに空しい気持ちで一応持ちこたえるが、すぐにハリスがロープで吹っ飛んだ。「なんでこんなことになるの・・・。もういやや・・・。」完全に落ち込んだ。リールに絡んだ糸をほどく気にもならなかったので、リールごと交換した。3,4分後、再びサナギハリス団子投入。「もう、おらんやろな。時間的にもやし、大物バラシもやったし。」案の定、それまでは着底後早くに反応がでたが、全く静かだ。諦めかけたその時、コン、コン、グゥと明確なアタリ。取り込みに成功したのは40UPのチヌだった。しかし、逃げ遅れたこの1枚を最後に、アタリは今度こそ完全になくなった。1枚釣れて溜飲を下げたというより、このクラスの良型が筏下にたくさんいたのにかけきらず、挙げ句の果てに大バラシをしてしまって時合いを自ら終了させた後悔の方が、1枚釣ることによって更に強くなった。

 12時半に一度丸貝が潰れて上がってきた以外は、チヌの気配を感じることなく時間は経過した。ボラが団子を触る時間帯もあるが、チヌアタリはでない。そしてボラの活性もだんだん落ち、表層にコノシロのいる時間帯も減ってきた。2時間に一度くらいはもしかしてというアタリもあったが、確信は持てなかった。コノシロの活性が上がってきたのは4時を過ぎてからだった。しかし、底の状況は平穏そのもの。「5時から、きっと時合いがくる。」そう信じてがんばった。しかし、その5時をまわっても活性は上がらない。「バラシが影響してるのかも。今日はこのまま終了かな・・・。」ところが5時20分、状況が一変した。いきなりサナギハリス団子に大きな反応がでる。穂先がクンクン動く。久しぶりのアタリだったので、あわせたかったが経験上、これはボラの団子へのアタックだと思い、あわせず我慢、その状態が2分くらい続いてやんだ。30秒ほど経過しても反応はない。「あれ?もしかして、チヌアタリ?餌なくなったのかな。また失敗か・・・。」そう思った矢先、細かいアタリの連打の後、穂先が上がるのではなく更に穂先が引き込まれながらアタリが続いた。「これや!よし、かかったぞ。」30p後半のチヌGETした。夕方の時合いが始まった。「今度はサナギ一本でノーミスで挽回する!」しばらくはボラが優勢で、着底直後から激しく団子アタリはあるものの餌は残っている。15分ほどボラの活性が強かったが、5時40分、団子が着底してもワンテンポ、アタリがでずその後アタリ。「今のはチヌっぽいな。ボラが散ったか。」次ぎもワンテンポあいた後のアタリをあわした。「よし、やっぱりチヌや。」型は30pほどだった。「チヌが優勢になったぞ。このまま、連発する!」次ぎもサナギハリス団子。同じようなタイミングで、アタリがでる。迷わずあわす。「よし、連発!これもチヌや。うお、うう。きたぞ、大物や。」格段に強い引き。「筏下にはいるな。」糸を引きずり出されながらも何とか耐える。「これがとれたら、前半のミスもとりかえせる。」チヌは筏下に入ろうとしていたが、突然左方向に走った。「よし、ラッキーや。チャンスかも。」同時にチヌの力が少し弱まったので、リールを巻きにかかる。「巻けるぞ。何とかなるかも。」と思った瞬間バレた。「・・・、何で。」ハリはずれだった。言葉がなかった。「またかよ・・・。一日2回も。」あまりのふがいなさに気が抜けてしまった。時間は5時45分。時合いが続いていてもおかしくない時間だったが、当然のことアタリはなくなった。それでも、まさかの1ッ発に期待して6時半まで粘ったが、ダメだった。もちろん、まだやれば可能性もあったかもしれないし、6時半までの間も工夫すればアタリを出せたかもしれない。しかし、暑さを12時間以上耐えてやってきたので、一気に疲れもまし、釣りたい気持ちより、帰りの運転が心配になってしまった。

 迎えに来てくれた西田のおじさんは釣果を見て喜んでくれたが、私はボーとした感覚だった。釣果だけみれば悪くはないが、内容は前回の白杉と変わりはなかった。いい日にあたれば誰でも釣果は上がる。だから釣果ではなく、満足(納得)できる釣りがしたい。その日、自分に与えられた条件の中で、チャンスを最大限生かす釣りがしたい。なかなか、そんな釣りはさせてもらえないけど。当日のせめてもの救いは、チヌを2枚あげたら、西田のおじさんとおばさんが喜んでくれたことだった。お孫さんが刺身が大好きらしい。6時45分、トランクに荷物を放り込んで、家路についた。

釣果:5枚(41.5・37.5・37.5・36.5・29)