9月22日(月)     大丹生(晴れ)

 今回はF君とK君との釣行となった。今年から本格的にチヌ釣りを始めた二人だ。三人で一緒の筏ということだったので、長浜の筏に行こうと思っていた。前日に状況を聞き、中か手前、もしくは東のいずれかの筏に決めようと予定していたのだが、前日に判明したのは長浜が休みということだった。「あれまあ、どうしよ。大きな筏か・・・、山弘か大丹生かな。F君とは前回山弘でボウズだったし、大丹生。でも、釣れて欲しいしな〜。そうや、おじさんに無理を頼んでみよ。」西田のおじさんに電話して、カセを2隻かけてもらうことにした。

 当日は午前3時に集合し、大丹生に向かった。黒鯛釣具店で団子(大)、サナギ、丸貝小袋1つ、氷を購入した。丸貝は小粒でしかも数がなかったので、途中の店を探すがなく、結局アケミ貝を買い足し、5時過ぎに大丹生に到着した。薄暗い中、渡し用の船をカセ代わりに引きながら出船。おじさんが本来のカセの隣につないでくれた。無理を聞いてくれたおじさんに感謝した。もともとのカセにF君とK君が乗り、私はもう1隻に乗って釣りを開始した。おじさんによると、土曜日はカセにはお客さんはいなかったが、カセ周辺で長竿で良型が数枚、バラシも結構あったそうだ。日曜日はカセにお二人乗られていたそうだが、長竿師がすぐ側で竿を出し、釣果はなかったらしい。かかり釣り師の立場から言えば、日曜日のような状況になると厳しい。いやでも場所は動けないから。長竿師も理解してくれて、離れてやってくれる方も多いが、人数の多い土日になるとそういう方ばかりではないので、悲しいことになってしまう。大丹生カセで気持ちよく釣りができるかどうかは、居合わせた長竿師次第の要素が多分にある。当日はお二人の長竿師がおられたが、防波堤の先の方に釣り座をとってくれた。

 今回は朝一より団子を3個投入してから仕掛けをつくり始めた。第1投はサナギハリス団子。アタリなし。打ち返しをするがサナギや丸貝には反応はない。何もいないのかと半貝を落とし込むとすぐにやられた。外道はいるようだった。そのうちハタが釣れた。最近のハタはサナギを食う。6時になると泡が上がってきた。ボラが登場したようだが、団子には全く反応しない。かと言って表層にいるわけでもない。底からやや浮いた場所にいるのだろう。やり始めて2時間、底ではほとんど活性を感じない状況が続いた。「あかんのか・・・。もしかして日曜日の低活性の続きか今日も・・・。」不安がよぎった。しかも釣り座の少し左には障害物があるようで、時々根掛かりする。7時45分、根掛かりを避けるため、若干右に投入したサナギハリス団子に、着底してすぐコン、グッと明確なアタリ。とっさにあわすとのった。「チヌや。」なかなかの抵抗を見せて上がってきたのは40オーバーの良型だった。「釣れた。よし、チヌはいる。希望はもてる。」いい時間に釣れたので、続いて釣れるかと思ったが、連続したアタリはない。10時を目標にがんばるが、相変わらず泡は上がってくるが底での活性は低い。一方、F君とK君のカセであるが、時々ボラをかけたり、チャリコやフグなどを上げている。こちらよりはやや活性がありそうだった。11時をまわった。目標にしていた時合いもなく、暑さでだんだんしんどくなってきた。「今日はあかんかも・・・。筏に移った方がいいのか。でも、筏で釣れた日は防波堤ではだいたい釣れている。筏より潮通しがよいカセの方がよいだろう。ここでいくしかない。」気分が更に萎え始めた11時20分、K君の竿が曲がった。横から見るがチヌらしい引きだ。しばらくしてK君のチヌやという声が聞こえる。一瞬チヌが見えた。30p中ごろのようだった。すると次の瞬間、リールがバックラッシュした。必死でほどこうとK君がしているが、どう見ても無理だった。「もし、見間違いで大きなチヌやったら、糸ひっぱたらばれるかも。」と迷ったが、横から糸を引っ張るように指示した。K君、無事に取り込み成功。「よかった。」K君が釣れてくれてほっとした。本当によかった。気分がとても楽になったので、防波堤に上がり、料理人のF君がつくってくれた弁当を食べながら、防波堤の上から二人と釣りの話しをした。「この時間に追加できたのだから、まだチャンスはある!がんばれ。」

 30分ほど防波堤の上で過ごし、12時頃、再びカセに戻ると状況が好転していた。団子を投入すると明確なアタリ。しかし、どうもボラの団子アタリのようだったので、見送った。回収するとサナギは無傷。「ボラが底に降りてきたか。チャンスかも。」ボラの団子アタリはその後も続いた。そのうち、サナギがとられるようになった。ボラでない魚もいるようだが、ハリス団子のため、アタリがわからない。たぶん、ボラのアタリと思っている中にチヌかもしれないアタリもあるのだろうが、私の思うチヌアタリはでていない。仕方ないので餌を団子に包むことにした。団子をボラに割らせて、サナギで待つ。しかし、アタリはでない。「ボラしかおらんのか・・・。チヌが食ってくる気がするのだが。」30分ほど経過した13時、団子が割れて、3分は経過しただろうか、細かいアタリがでた。10秒ほど我慢しただろうか、少し大きめの突っつきアタリをあわせた。「よし、やった。やっぱり釣れたぞ。」今度も40UPの良型だった。いい感じだ。しかし、この1枚を釣って10分もすると、ボラの団子アタリがなくなった。泡は上がってくるが、アタリはない。「ボラが浮いたか。それならハリス団子や。」ハリス団子に代えて数投目だったか、明確なコンコンコンというアタリ。かかった。「しまった。今のはボラアタリやったかも。ちょっとボラよりは力強かったように思ったが・・・。」一瞬、失敗したと思ったが、引きは十分強い。「おお!これはチヌや。大きいぞ。」上がってきたのは40p中ごろの黒いチヌだった。時刻は13時半だった。その後も底には大した餌取りもボラもいない状況が続いた。釣りやすい状況だ。1時間で2枚釣れたので、チヌの活性もあることはわかった。まだ釣れることを確信した。14時、またもサナギハリス団子でアタリをとらえた。これも40UPだった。大きさの割りには引きが強く、40後半だと上げるまでは思っていた。ヘラブナのように体高のあるきれいなチヌだった。3枚目が釣れた段階で、F君にこちらのカセに来るように言っていたが、今度は自分のポイントで釣りたがっているF君をうながして、隣で釣るように言った。30分ほど、F君にいろいろアドバイスしながら釣った。F君の穂先には時々チヌアタリがでる。かけることはできないが、初心者のF君にとってはよい経験ができる状況だ。14時半からは隣のカセのK君の所へ行き、竿の構え方やアタリのあわせどころなどを話した。15時、再びもとのカセに戻って釣りを再開した。F君も自分のカセに戻ってラストスパート。釣り始めてわかったのだが、またもや状況が変わっていた。今度はボラではなく、ものすごい数の外道が底にいる。ハリス団子にするとすぐにサナギがなくなる。表層にはアジの大群、やや下にはサンバソウや木っ端グレが見える。魚の活性はすこぶる高いが釣りにくい。チヌもきっといるだろうが、餌がとどかない。16時、8Bでサナギを落とし込んで、やっとかけるが25センチの小型だった。

 一方、F君とK君のカセだが、やはり一日を通してチヌはいたと思う。私のカセより外道が多かったので、彼らには難しかったが、ボラや大型チヌを定期的にかけていた。特に15時頃からは頻繁に竿が曲がっていたが、残念ながらことごとくばらしていた。あれだけばらしてもなおアタリがあるのだから、よい条件だったと思う。若い二人には悔しさが残ったとは思うが、よい経験ができたのはよかったと思う。当日の大きな目的の一つはある程度達成できた。18時、K君が30pほどのチヌを上げたのをきりに納竿することにした。個人的には夕方の時合いに追加できなかったが残念だったが、いろんな意味で充実した一日だった。

 陸に上がるとがじろうさん一家がきてくれていた。当日の状況を話し、我が家の余り物をもらってもらった。6時半過ぎ、真っ暗な大丹生を後にした。夜風が気持ちよかった。

       

釣果:5枚(44.5・43・42・41.5・25p)