12月30日(金)    上佐波賀(曇り時々雪)

 お酒をたくさん飲むとあまりよく寝られない。そのためか早々に目覚めた。そして、7時には上佐波賀に到着した。7時半にナガさんに電話したところ、まだホテルだということだったので、とりあえず先に筏に行くことしした。7番に着くと、どうも私が帰ってから牡蠣の引き上げがなされたようで、筏が汚れていた。「ラッキーかも」と思った。まずは前日の残りの牡蠣で釣りを開始した。期待の第1投。着底。「くるか!」反応なし。第2投も、そして第3投も反応はない。「あれ〜、昨日と違うな〜。気配ないな。」釣りを開始してから、30分ほどたった8時過ぎ、牡蠣が着底するとコンとあたって、すぐにコチョコチョ触り始めた。前日の経験もあるので、チヌアタリを確信し、穂先に集中した。冷静にアタリを見極められている。10秒ほど待っただろうか、コチョコチョからクゥクゥクーと穂先が引き込まれたところで、渾身のアワセを入れた。「よっしゃ!」手応え十分だった。なかなか底を切れない。大物であることは間違いなかった。2,3回の締め込みになんとか耐えて底を切るが、抵抗のないときでも相当な重量感を感じた。「間違いなく、前日よりも大きい。」そう思った。立ち上がって何とか筏に潜り込まれないように、やり取りをした。5,6回巻くと突っ込み、全身を使って耐えてまた巻く。徐々にだが上がってくるが、衰えを知らないかのように引き続ける。「すごい、これは絶対年無しや。」必死で巻く。巨大な牡蠣がらを底から引きずり上げているように感じる。もう何度、耐えたであろうか。幸いなことに突っ込みは真下に向かってであり、筏方向には行かない。安定した位置でのやり取りが続いた。「これは捕れる。前日に続いて2日連続の年無しや!いったいどんなチヌが上がってくるんやろ。ナガさん見たら、びっくりするやろな。」そんな思いが頭に浮かんだ。「よし、姿がそろそろ見えるぞ。あっ!」なぜが、穂先が跳ね上がった。「え・・・」ハリス切れだった。「え・・・。なんで」「くっそー、くそくそくっそーーーーー。なんでやねん。くっそーーーーくそくそくそくそ。」前日の釣果など吹っ飛ぶ悔しさだった。「なんで。もうなんで。あとちょっとやったのに。」悔しさは収まらなかった。「うーーーん。」気持ちを整理するのに大変だった。

 8時半、ナガさん到着。ナガさんと話しながら牡蠣掃除をしていると少し落ち着いてきた。9時頃だったか、ナガさんがあわせた。「おーー、チヌおるんや。」そう思ってやりとりを見ていると、魚が筏下に突っ込んだ。ナガさんの竿がすごく曲がっている。「でかいんちゃうん。」2度、3度と筏下に突っ込む。ロープにかかると思ったが、引き上げでロープの数が減っているためか、ナガさんの強運か。魚は徐々に上がってくる。ナガさんも魚のスキを見逃さず、容赦なく巻き上げた。力と力の勝負のように見えた。そしてとうとう魚が浮いた。「大きいです。」と言ってナガさんがタモに入れたチヌを筏に上げた。「でっかーー。でっかーーー。すごいでかい。えーーなーー。でっかーー。なにこれ。めちゃめちゃでかいやん。すげーーー。」そのチヌは見たことのないでかさだった。太平洋側ではたまに釣れるだろうが、日本海ではめったにでないサイズだった。55は超えている。もう、びっくりするやら、さっきいのバラシが思い出されるやら、頭が混乱した。

 その後もナガさんにはたまにアタリがあるようだった。10時過ぎ、ナガさんが再びかけた。今度の魚は40p。ただ、先ほどのチヌを見ているので、すごく小さく感じた。結局、その1枚を最後に二人ともアタリなく、15時半に納竿した。私はバラシてから1度もアタリなく撃沈した。迎えの船にはがじろうさん親子が乗っていた。陸に上がって船頭さんを含めて楽しく話した後、帰路についた。充実した2日間だった。帰り道、2つのことを考えた。一つはバラシたこと。これはこれでよかったと思った。確かに、釣れた方がうれしいに違いない。でも、ナガさんが言っていたようにバラシがあるから、釣りはおもしろい。だから、喜びを1日目にもらい、そして釣りへの情熱を2日目に神様からもらったと思うことにした。もう一つはハリスの太さ。ナガさんは2号のリールの糸の長さの残量に不安があったので、たまたま3号を使っていたらしい。「でもあの魚は3号やったし、とれたのかもしれへん。舞鶴は糸を出せない釣り場やし、そのなかであのサイズを力で引き上げるには3号が妥当。」そんな気がした。私は必要以上に細いハリスで釣って満足するようなタイプではない。だから、舞鶴では2号を使ってきた。ただ、あの魚を見て、また数々のぶっちぎられた過去の記憶を思い返すと、3号にしようかと考えた。「でもな〜。甲ヶ崎や児島の浅場で巨チヌを狙うなら、3号が間違いなく妥当やけど、舞鶴で常に3号はどうやろ。確かに上げる確率は3号にもちろん分がある。そういう論理なら4号の方がもっとよいことになる。でも3号やったら40後半でもドキドキ感がなくなるやろな。」結局、辿り着いた結論は、どうやったら釣りが楽しいかということだった。「やっぱり2号でやるか。大物バラスのは嫌やけど、ドキドキ感が釣りのおもしろさやし。ぶっちぎられるのも自分らしいかも。」そう思った。「でも、夏場の大丹生カセは3号使おっと。」年末にしてまた新しい発想が増えた気がした。

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