12月2日(土)   大丹生(晴れ)

 耳の後ろのリンパ腺が頭から首筋にかけて痛かった。やめようかと思ったが、じっとしていても悪化するときはするだろうと思い、釣りに行くことにした。午前5時に家を出発し、途中黒鯛釣り具店で団子(小)、オキアミ、サナギを購入して7時に大丹生に到着した。今回は筏が一杯だったのでカセに乗ることにした。今までのカセは、台風で沈没(今は引き上げられているが使用不可)したため、新しいものが防波堤の岸よりにかけてあった。カセに乗り込んで、真っ先に目に入ったのが、背後の防波堤に付着した牡蠣とイガイであった。牡蠣は小さくて形の悪いものが多いが、いくつかとると刺し餌に使える物もあった。団子を打った後、仕掛けを作り、まずは牡蠣を投入した。さっそく小アタリが出て、ベラが釣れた。外道はいるようだ。次はオキアミハリス団子を投入。これにもアタリがでてとられた。前回の山弘とは違い、外道の活性は高いと感じた。それからは防波堤から牡蠣やイガイをはがして撒き、団子もコンスタントに撒き、餌はオキアミ、牡蠣、サナギ、イガイを適当にローテーションした。なんでもこい作戦だ。結果はサナギは無傷、アタリがでるのはオキアミと牡蠣だった。小さなアタリでとられる。そのうちチヌが寄って、オキアミに明確なアタリを出してくれることを期待した。

       

 ところが10時から、予想していない展開となった。外道の活性が更に上がり、オキアミは瞬殺、牡蠣は底に着くまでにとられるようになった。サナギがかじられるようになり、主な外道がカワハギとフグになっていた。しかし、オキアミや牡蠣がだめでも、サナギにアタリがあることは望むところだった。10時半、サナギを少し動かすと微細なアタリが穂先に出始めた。細かなアタリでカワハギをすでに2匹釣っていたので、カワハギだと思っていていると一気に穂先が引き込まれた。「あっ」と思ったが、油断していたので、あわせが遅れてしまった。「今のは、今日初めてのチヌアタリやったかも。」ショックだったが、必ずチャンスはまたでてくると思って、集中し直した。その後、サナギが皮だけになるほどの活性になっても、それらしきアタリはでない。でも、この調子でいけば、きっとサナギで釣れると感じていた。

 12時になると今度は急に活性が落ちた。潮止まりだと思った。そして13時になると再びアタリが出始めた。オキアミは瞬殺、サナギとイガイには一切アタリがない。牡蠣は着底までにほとんどフグにやられた。何度もハリスをかじられ、ハリを結びなおした。カワハギらしきアタリはでない。14時なった。同じ状況が続いていた。「オキアミや牡蠣では釣りにならない。チヌを釣るならイガイかサナギしかない。」わかってはいるが、アタリがでないサナギやイガイを中心にして、粘る余裕がなかった。「ある程度の数がいれば、ちょっとくらいはその気配を感じるはず。いないのでは・・・」

 フグの活性が高い時は、チヌが高確率で釣れることは経験上わかっていた。15時、なんでもこい作戦を終了することにした。最後に選んだ作戦は、サナギやイガイの一発勝負ではなく、牡蠣での乱打戦だった。残りの団子をすべて一気に投下した。そしてフグより先にチヌが見つけてくれることを期待して、とられてもとられても、ひたすら牡蠣を落とし込むことにした。開き直って40分は全く歯が立たなかった。「だめか・・・」ところが、急に餌が残りだした。15時50分、やっぱり餌が残っているので、上に誘ってみた。すると穂先が痙攣するようなアタリがでた。無意識で小アタリなのにあわせていた。竿に重量感がのって我に返った。「チヌや。」上がってくるまでの抵抗も強く、姿が見えてからも数度の突っ込みを見せたのは良型チヌだった。釣った感のある1枚だった。

    

 その後、納竿までの20分も餌の残る状態だった。上手くアピールできれば釣れる可能性は十分あったと思う。しかし、アタリを出すことなく終えてしまった。岸に上がるとがじろうさんが来てくれていた。久しぶりに日が暮れるまで、駐車場で話した。がじろうさんはちょっと寒そうだったが、私にとっては夕闇が深まる海辺が心地よかった。がじろうさんと別れて帰路についた。家まで、1時間40分をきって帰れた。

 今回の1枚は試行錯誤して、最後に勘が当たって釣った満足の1枚だった。ところが、帰宅後、チヌをさばいて複雑な気持ちになった。胃袋にはイガイとサナギが一杯入っていた。早い段階から、残る餌で粘っていたら、たぶんもっと早く釣れたということだった。「うーん、まだまだ判断が悪いな。」と思った。そして、「次こそは」という気持ちを新たにした。
 

釣果:1枚(45.5)