10月17日(水)   大丹生(曇り時々小雨または晴れ)

 やっと休みが取れたので、F君と大丹生に行くことにした。当日は4時に我が家に集合し、途中黒鯛釣り具店で団子(大)、サナギ2袋、丸貝1袋を購入し、釣り場に向かった。大丹生には6時頃到着し、しばらくして出船。乗った筏は沖側の渡船場よりの筏だった。まずはイガイやサナギを落とし込んでみたが、アタリはでなかった。30分ほどで切り上げ、団子を投入した。すぐに底にはカワハギやサンバソウが集結したようで、サナギには穴が開いて上がりだした。季節は進んだが、前回同様外道は元気で、釣り初めて1時間もするとサナギはアタリが出ないままボロボロになり始めた。早くも厳しい展開になったように感じた。ところが7時半、急にサナギがほぼ無傷で残った。変化がでた時はチャンスと思って集中していると、自分ではなく突然F君の竿が海面に突き刺さった。上がってきたのは35㎝ほどのチヌだった。「何でや。ええな~。」やはり来たかと思ってさらに集中するが、再びサナギが突かれるようになった。ハリス団子ではもたないので、団子と別打ちにすると、サナギは残るがアタリはでない。チヌがそれほど多く寄っているとは思えなかったので、今度はアピール力を上げようと、団子の宙切りでサナギを落とし込んでみた。着底したが反応はでない。2分ほど経過しただろうか、突然穂先が突き刺さった。「重いけど、あまり引かない。」100パーセントチヌと確信はできなかったが、上がってきたのは少し痩せてはいたが、45㎝オーバーのチヌだった。「釣れた!」時刻は8時だった。
          

 早い時間に1枚釣れたので、楽になった。追加を狙うが、上がったのは外道の活性だけだった。カワハギ地獄。サナギはハリス団子では全く通用しないので、包むかちょっと遠い目に投げるかしかなかったが、釣れる気はあまりしなかった。前回の反省があるので、サナギにこだわらず、イガイや丸貝も適当に使いながら釣り続けた。9時頃、当日2度目のアタリがでた。微かなアタリがその前にあり、サナギが残っているとは思っていなかったのでびっくりした。上がってきたのは31㎝のマダイだった。これなら刺身にできると思って、うれしかった。そして、また外道地獄。全くあわすタイミングがなく、ただただ餌を付け替え、打ち返す時間が続いた。

 10時、突然F君が声を上げた。見ると竿が「く」の字に曲がっている。巨イガイのゼロ釣法らしい。何度も抵抗を見せて上がってきたのは、体高があり、傷一つない見事な体格をした52㎝の年無しだった。「すごいな~。でかい。」今回の師弟対決も敗北が決定した。「この状況なら、やっぱりイガイしかチヌに届かないか・・・。」F君によると、巨チヌは底より上で食ったらしい。もちろん、そのあと私もイガイを試すが、何も触らない。アタリなく取られるサナギ、ピクリともしないイガイと丸貝、つらい状況だった。時刻はF君が釣って1時間が経過した。漫然とサナギの落とし込みをやっていると、突然穂先が突き刺さり、リールが逆回転した。「うわ!」やっとでたアタリを見事に失敗した。「ほんま、がっくりや・・・」

 その後も延々と同じ状況が続いた。釣れなくてもあわせたいと思った。そしてこの静寂を破ったのはまたしても、F君だった。13時、F君が慌てて置き竿を握り渾身のアワセを入れた。F君の腰付近で上げた腕が止まり、竿がへし曲がった。すごい重量感が伝わってきた。「でかい!2枚目のモンスターや。」と思った瞬間、悲劇が起こった。あまりの衝撃に負けて、F君の手から竿が離れ海に落下。F君は急いで拾い上げようとするが、重力には勝てず、ああ無情・・・。茫然自失のF君に尻手ロープの必要性を師匠として説いておいたが、F君の目は宙をさまよっていた。ちなみに餌はイガイだった。

 大バラシから1時間が経過した14時、またもF君があわせた。F君のスペアー竿が今度も曲がっている。F君は気合いが入り、「今度は逃がさない。」といいながら巻き続けた。「おー、年無し返しか!全くアタリがこっちにはないのに、大物ばかりすごいな。」そう思って海面に現れる巨チヌを待った。「はっー?」なぜか姿を見せたのは、35㎝ほどのチヌだった。しかも尾にスレがかり。「なんじゃそれ・・・。」今日のF君はいろいろ楽しませてくれるエンターティナーだと思った。

 F君のドラマチックな釣りを見て、私の方はある意味切れた。チヌはいるのにあたらない。当日初めて、イガイの探り釣りをするため、釣り座を離れることにした。2メートほど右に動き、その筏では何度か釣り上げたことのある筏は端に落とし込んだ。着底してもアタリはでない。しばらくして上に誘うが反応無し。だめかと思ったが、今度は少し横に誘ってみるとすぐにアタリが出て、そのまま押さえてきた。「よし、乗った。」上がってきたのは44㎝の良型だった、

         

 この頃から、空が曇り、夕方のような雰囲気になってきた。外道が大人しくなるかと思ったが、依然高活性のままだったので、サナギは諦めた。イガイでやる方がよいとは思ったが、当日は団子釣りをしたかったので、丸貝ハリス団子を多投した。15時30分、団子がハリスから外れてしばらくすると、丸貝にアタリがでて押さえた。「よし、丸貝で釣った!」40㎝台をそろえたかったが、上がってきたチヌはそれには足りなかった。でも満足した。

        

 そして、16時過ぎ、小雨が降り出し、黒い雲が流れてきたので、納竿した。当日の状況だが、F君と自分とで、アタリの数は少なかったが、1時間ごと何らかの反応はあった。アタリはどれも明確であったので、一日を通して時合いだったと言ってもよいと思う。数だけのばすならイガイ釣り一本でやった方が結果でたように感じた。ただ、あと少し外道が大人しくなったら、きっとサナギでよい釣りができると思った。その頃にまた挑戦したい。

       

釣果:3枚(46.5・44・37)