11月24日(土)   大丹生(晴れ時々曇り)

 前回の釣行から1ヶ月以上が経過した。季節は進んだが、あまり海の状況は変わってないようだ。今回もカワハギとの格闘を覚悟して、大丹生に行くことにした。当日は途中で黒鯛釣り具店で団子(大)とサナギ2袋を購入し、釣り場には6時半に到着した。最近は筏に番号がついたようで、私は3番に乗った。朝一は団子を打たずに、落とし込みで様子を見ることにした。最初はイガイから始めた。大小様々なサイズを落とし込むが反応はない。いきなりガツンを期待したのだが・・・。サナギを落とし込むと細かいアタリできれいになくなる。表層に10匹程度はいたので、予想はしていたが、団子を打つ前から、相当な数がいるようだ。30分ほど落とし込みを続けたが、カワハギの極小のアタリしかないので団子を打つことにした。当然カワハギの活性はますます上がり、サナギでは手の打ちようがなくなった。イガイを付ける割合を増やしたが、イガイにも反応はない。釣り初めて2時間が経過した9時、筏裏で落とし込もうと移動した。すると4号の釣り人が良型を上げられるのが見えた。「やっぱりイガイか。」期待をするがこちらは反応がない。「きっとチヌは周囲に必ずいるのやろうけど、なかなか寄せられないな。」時間だけが経過していく。「今日もあかんな~。団子で寄せて、サナギで釣りたいけど、無理や。」

 時刻は11時になった。団子があるので打つことは打つが、頭の中はイガイ釣りのイメージでいくしかないと感じていた。今度は釣り座から離れた位置で、イガイではなくサナギを落とし込んでみようと思った。筏裏に移動して、0.5号の2個付けてサナギを落とし込む。着底してしばらくすると細かいアタリがでる。やや反応は大きいが、やっぱりカワハギ。相当広範囲にいるようだった。筏裏で30分ほどやったが、良型のタコが釣れただけであった。再び釣り座に戻ったのは11時45分頃だった。しばらく放置していたので、カワハギが散り、そこに周辺で見ていたチヌが入ってきていると予想し、サナギを急速落下させる。着底後、一呼吸おいて、穂先が震えるようなアタリがでた。とりあえずあわせてみた。すると予想外の手応え。「チヌや。」サナギがチヌに届いた偶然にびっくりしたが、何となくそういうことも予想していたので、ちょっと納得するところもあった。何度もチヌは抵抗した。まあまあのサイスだった。しかし、タモのなかの魚を見ると痩せて傷だらけだった。特に下あごに大きな傷があった。おそらく奇形ではなく、ストリンガーで傷んだものだと思った。かわいそうだった。「こんな体であんなに抵抗したんや。その上ハリまで飲ませてしまった・・・。」罪悪感が沸いた。空気を抜いて、スカリに入れた。10分ほど泳がせて、腹を上にして浮かないのを確認した後にリリースした。チヌは頭を下にして、まっすぐに底に向けて泳いでいった。しかし、私には沈んでいるように見えた。自由を喜ぶより、最後の力を振り絞って、死に場に向かっているように見えた。「なんとか海底まで。」そんな声を感じた。生き残る可能性は低いと思ったが、頑張って欲しいと強く願った。

   

 いい時間に1枚釣れて、追加を狙ったが、その後はやっぱりカワハギ地獄。団子を他の場所に打って直下を狙うが、一度寄った場所からは離れないようで、効果はない。沖に向けての遠投が餌持ちがややよかったが、それらしきアタリは一切なかった。14時、正攻法の釣りで釣りたいという考えをなくすため、団子を一気にすべて放り込んだ。残り2時間はイガイにかけるつもりだった。時刻は15時になった。アタリのでないイガイにも飽きてしまったので、ラストは根拠のないサナギの大遠投をしようと思った。15時15分、サナギを放り投げ、テンションをかけながら斜め45度くらいの角度の位置に着底した。途中、カワハギに触られていないのはわかった。「餌は残っているのは確かだけど・・・。」ボーと2,3分穂先を見ていた。するとコツンと前アタリがあり、すぐに穂先が鋭くお辞儀した。「のった!」強烈に引く。大型間違いなしの引きだった。必死に耐えるが、魚は前方でかけた上に沖に向けて泳いでいる。心の中では若干の安心があった。徐々に上がってくる。たぶんあと1回の突っ込みに耐えたら、とれるところまで来た。早く魚が見たくて竿であおってしまった。それによりテンションが緩んだためか、魚が急に方向を変えて筏にむかってきた。「やばいー」と思い、引きずり出そうとした。しかし・・・、ロープに引っかかった。海をのぞき込むと水深3メートルほどのところにチヌが見えた。そして、チヌは糸を切って逃げていった。天を仰いだ。悔しくて悔しくて、叫びたかった。

 バラシ以後、カワハギの活性は急に落ちた。なんとかもうワンチャンスと願ったが、納竿までの30分では再びチヌに餌を見つけてもらうには短かすぎた。16時納竿。残念な釣りになってしまった。筏釣りを始めたころの舞鶴は今年のようなカワハギ地獄だった。いや、もっといたかもしれない。そのころはカワハギにお手上げだったが、25年ほどが経過した今、カワハギ地獄をかわして、よい釣果を上げたいと思った。当日は新たな闘志が沸く一日でもあった。

釣果:1枚(43㎝)