12月21日(土)   大丹生(晴れ後曇り)

 過去2回の大丹生撃沈釣行記を読んだF君から「無策」と言われ、思わず笑ってしまった。自分では釣れると考えたのだが、状況を読み間違えたのか、ろくなアタリもだせなかった。結果的には終始何もいない竿下に、ただ牡蠣やイガイを落としているだけなので、無策という表現がピッタリだと思った。「ここは師匠の威厳を保つため、再度挑戦しよう」と言えば聞こえはよいが、他に行くところを思いつかなかったので、無策の上塗りになるだろうと内心思いながら、大丹生に行くことにした。

 当日は7時過ぎに到着し、違う筏で牡蠣やイガイを採取してから沖側の渡船場寄りの筏に乗った。ゼロ円にこだわっているわけではない。牡蠣がまだ小さいので販売は年始からと断られてしまったから仕方がない。乗った筏にも多少は付いたので、時々補充すればやれそうだった。まず、漁師さんを意識しながら、小さな音で牡蠣掃除のまねごとを10分ほどやった。その後、仕掛けを作って牡蠣で第1投。着底するもアタリはない。「いつも通りか・・。」2分ほど待って上に誘い上げて落とすと、すぐに小さくあたった。「え!触った。珍しい・・・。」アタリは継続し、少し押さえたところであわした。十分な手応えだが、すぐに何かが違うと感じた。「おまえかー、アナコンダ」。チヌではないが、筏下に魚がいることはよい傾向と思った。次も着底後しばらくしてアタリがでた。活性が高い。そして第3投目。今度は着底後すぐに触ってきた。アタリがでることは予想していたので、流れに合わせて無心であわせた。重量感が伝わってきたあと、強く引き込んできた。「アナゴじゃない、チヌや!」何度も突っ込みを見せて上がってきたのは良型だった。「こんなに早く釣れるとは。」魚の写真を撮りながら、爆釣を確信した。「今日は絶対釣れる。」

 

 ところが事態は予想外の展開になった。牡蠣が着底しない。ものすごい外道。前回も牡蠣掃除の筏には外道がいたが、こんなに早く外道地獄になるとは思わなかった。全く歯が立たない。イガイでやるしかなかった。イガイにも微妙な反応があるが、チヌアタリではない。おそらくチヌはある程度はいると思うので、食いのよい牡蠣でやりたい。9時半ぐらいまでは、牡蠣は取られてイガイには反応なしの状況が続いた。10時頃からは、直下でなくてもチヌがうろついていると思い、いろんな場所に牡蠣を投げてみることにした。しかし、ことごとく着底までにとられた。それは大遠投しても同じだった。「どれだけ広範囲に外道いるんや・・・。ここまでは想定していなかった・・・。」外道は中層からウマズラ、下にはフグがいるようだった。牡蠣でやるたびにハリスに傷が入った。11時頃からはフタをもう一度はめて、ハリスで7回ほど巻いて、底まで運んだ。そしてある程度待ってから、牡蠣のフタを外した。12時頃、その釣り方でアナゴを釣った。しかし、それ以外は外した瞬間に外道に取らた。外したその時にチヌがそばにいない限りこの釣法では釣れないし、そんな確率はゼロに近いと思った。「なんちゅうこっちゃ」

 カップラーメンを食べて一息入れた。こういう時はイガイで勝負する方が釣れる確率は高いと思ったが、牡蠣で釣っているだけに辛抱できない。再開後も牡蠣を直下に落とすがやっぱり同じだった。今度は一番外道の少なそうだった右前方向に思いっきり投げた。すると牡蠣が着底し、10秒後も残っている。外道に発見されなかったのは、3投目に釣って以降初めてであった。一切動かさず放置することにした。そして3分ほど経過した時、コンコンと節のあるアタリが何回か出た後、穂先がお辞儀した。遠投しているので、竿とラインの角度があまりなかったので、引き込んだかは確信できなかったが身体を使ってのけぞるくらいあわせた。ドンという感触だった。「チヌや。でかい。」。沖でかけているので、筏下は怖くなかったが、ハリ外れだけが心配だった。何度かの引き込みに耐えると、3メートル先で姿が見えた。そのまま静かに引き寄せ、水面に上げる瞬間にすくった。傷1つないきれいな年無しだった。

  

 この1枚で今までの想像がある程度あたっていると思った。食い気のあるチヌはいる。何とか更に追加しようといろいろ投げてはみたが、牡蠣は着底しなかった。イガイのサイズを変えてもあたらず、イガイの両貝もダメであった。ところが、15時から牡蠣が直下なのに着底するようになった。冬場は外道が激しくてもこういうタイミングはある。もっと早くこういう時間帯になって欲しかったが、まだまだ秋の気配が残る海なので仕方ないのかもと思った。とにかくやっときたこのタイミングをとらえようと緊張して構えた。「くるぞ、くるぞ、最後に」そう思いながら穂先を見つめるもアタリはでない。そして、30分後外道が戻ってきてジ・エンドとなった。きっと何かの変かがあったはずだと思うがチャンスをとらえられなかった。納竿は16時、帰りの船中で年無しは放流した。3度目の正直でチヌに会えてよかったが、正直もっと釣りたいと思った。。

釣果:2枚(53・48)