3月1日(土)    上佐波賀(曇り後雨)

 私がお世話になっているお店の方と、もうそういう話をして5,6年は経過したであろうか、やっと一緒に釣りをすることが実現した。Iさんは自動車に乗らないので、当日は午前4時に迎えに行くと、すでに自宅前で待っておられた。前日はほとんど寝られなかったそうだ。Iさんは筏釣りはほぼ初心者だったので、釣りの話をしながら車を走らせた。上佐波賀に到着したのは6時15分ごろだった。他の釣り客さんと挨拶を交わして、出船を待った。7時に出船し、我々は24番に降りた。他にも釣り客さんが3,4、17、19に一人ずつおられた。まずはIさんに釣り竿の準備をしてもらっている間に牡蠣掃除。牡蠣ゴミの第一陣を撒く。更に牡蠣掃除。次にIさんのハリを結んで、牡蠣の付け方などを話して、牡蠣を落としこんでもらう。竿はIさんが持ってこられた竿を使ったのだが、上手く糸がでない。なんとか着底。緊張の時だ。アタリがでないまま、潮で餌が流されて、穂先が曲がる。竿は2メートルほどあり、持ち手とリールの位置のバランスも悪かった。どう見てもIさんには扱いにくいと思った。せっかくなので、ご自分の竿で釣ってほしいと思ったが、長時間釣るには思い切って竿を変えた方がよいと判断して、私の予備の竿と代えることにした。Iさんに牡蠣を割ってもらっている間に、超特急で、竿を変更した。再び牡蠣を投下して、Iさんに交代し、自分の釣りの準備を始めた。時刻は8時であった。するとすぐに「あたってる。」というIさんの声。「チヌですよ!待って!あたってる、あたってる。いま!あわして。」Iさんが竿を上げた。あわせは当然弱かった。穂先を見つめる。「あかんか・・」と一瞬思ったが、すぐに穂先に負荷がかかった。「やった、かかってる。巻いて。どんどん巻い。糸だしたらあかん・・・、大きいですよ・・・・・・・・・」とにかく指示を出した。幸いにも魚は筏下には入らない。魚は結構抵抗したが、とうとう姿が見えた。「よし、入った!大きい。年無しか。すごい。やりましたね!」いきなりの大騒ぎになってしまった。チヌは49pあった。早くも釣れ、ほっとした。「今日はすごいのか?釣れたし、しばらくはIさんに一人でやってもらおう。よし釣るぞ。」今度は自分が釣ることに集中した。連続して当たってくると思った。しかし、あたらない。自分が釣り始めて時間はたっていないが時刻は8時45分になっていた。「この時間帯で食い始めれば、いいのだけど・・・」

 時刻は9時になった。すると当日初めて穂先にコツとあたった。すぐに連続して突いてきた。チヌだと思った。「このアタリ方なら、必ず押さえてくる。」更にあたり、アワセを入れるため、若干穂先を下げて、穂先が入るのを待った。ところが私が思ったタイミングで押さえ込まない。その間1,2秒だったが、「たぶん、もう食ってる。食い逃げされるより、勘であわしてもかかるやろ」と判断してあわせた。ゴンと手応え、「よし、かかった!」と思った瞬間はずれた。「・・・、しまった。あせったーーー。うーーん、完全に食い込むのをまたないと。」すごく後悔した。「いたいなー。」気持ちを切り替えて次に集中しようとした。アタリはでない。「うーーん、我慢。必ずチャンスはある。」次のチャンスに備えて、餌をこまめに切って、打ち返した。定期的にゴミも撒いた。ところが1時間たっても2時間たっても、穂先はピクともしない。朝のうち、流れていた潮も止まり、風も冷たい。「今日は絶対あかん日やな・・・。」テンションの下がる中、Iさんが昼食を用意してくれた。ご馳走だった。
  
     

 エネルギーを十分に補給してがんばるも、ダメなときはダメなのが自然。結局、手も足もでないまま、14時を迎えた。この頃から、雨もきつく降り出し、寒くなってきた。もしかしての薄い期待を持って15時までやったが、諦めて納竿した。アタリは1度しかなかったが、おそらくチヌアタリだったので、それを外したことがとても悔しかった。撃沈だが、よい勉強になった。当日は他の筏でも厳しかったようだった。久しぶりの上佐波賀だった釣り人もおられたようだったので、もう少しよい状況であって欲しかった。

 帰り道、Iさんは寝ていた。さすがに疲れたのであろう。とにかくIさんに釣ってもらうという当日の最大の狙いは達成できた。でも、本当に大事なことはIさんが「筏にまた行きたい。」と思ってくれるかだろう。出船前に他の釣り人が話されていた。「昔の上佐波賀は30台の筏に100人乗っていた。」と。筏釣りがそこまで盛んになることはもうないと思う。それに騒然とした釣り場は好きではない。でも、筏釣りの楽しさは伝えていきたいと思う。私は20代の後半から筏を始めた。ボウズを食らっては、釣っている人からちょっとでも聞こうとした。そんな若い世代が舞Iで、もうちょっと増えて欲しい気がした。 

釣果:こんなもんかな。