12月22日(火)    白杉(曇り)

 私は春の久美浜湾の釣り以外で、オキアミでチヌを釣った経験がほとんどない。それは著名人の本で勉強した釣法がカワハギの多い舞鶴では全く通用せず、オキアミやシラサの釣りからサナギ、丸貝そしてイガイへと早くからシフトした結果、使う機会がなかったことも影響している。しかし。時の経過とともにカワハギは減り、今年は最盛期の10月からオキアミが通用することを目の当たりにしてきた。だから、今回はオキアミで釣ろうと考えた。前回の上佐波賀の状況から推測すると、アジ以外の外道はほとんどいない。そのアジも常にいるわけではなく、一時的なもの。団子に包まなくても上からオキアミを落とし込める時間帯がほとんだだった。オキアミで大釣りをするなら、団子釣りより長竿のフカセ釣りに分があると思ったので、久しぶりに、山弘渡船の筏で長竿を振ることにした。水深のある釣り場での長竿はちょっと面倒くさいが、以前は大丹生でもよくやっていたので、なんとかなると思った。

 当日は配合餌の湾チヌとオキアミスライス2キロ、刺し餌のオキアミとシラサ半杯を購入し、釣り場に向かった。そして他の釣り人2人とともに7時に出船した。他の釣り人は島近くでカセに乗られたようで、筏群は私一人だった。1号筏でいつものトイレ前に釣り座を構えた。撒き餌や仕掛けを作るのに時間がかかり、釣り開始は8時前だったように思う。すると30分もしないうちに浮きに反応が出始めた。なかなかかからない。チヌではないと感じた。しばらくして上がってきたのはヒイラギだった。その後も、頻繁に浮きが沈むが、チヌのようにスーと入るのではなく、急に消し込むアタリがほとんどだった。時々、25pを越えるアジがかかってくる。忙しすぎる。それにもかかわらず、9時半過ぎには短竿もセットしてしまった。成功しない二刀流はいつもの癖だった。やっぱり短竿が好きなんだなと改めて実感した。しかし、今回はオキアミで大釣りすることを考え、準備してきた。初志貫徹して作戦を実行することを決心して、長竿を振り続けた。

 ところが昼からは、風が正面から吹き、浮きがコントロールできなくなった。わざわざ新しく購入した浮きなので使い続けたが、遠投もうまくいかない。外道もヒイラギやアジだけでなく、フグや根魚、カワハギなどいろいろいて、かわしきれない。おまけに風がでるとフロートが動いてきて、釣りの邪魔になった。一番大きな失敗は釣り座の選択であったが、それ以外にも多くのミスがでて、想像した釣りになっていなかった。しかし、朝から餌を入れてこれだけの外道を寄せているのだから、きっとチヌもいるはずという考えが頭からはなれず、ただひたすら振り続けた。今考えれば、仕掛けの変更など、打つ手がまだあったのにやる余裕がなかった。

 時刻は14時なった。最後に私のとった手は仕掛けの変更ではなく、釣り座の変更だった。風の影響を避け、一から撒き餌を打った。ところが時合いだったのか、すぐに浮きに反応が出始めた。微妙なアタリではなく、1投ごとに浮きが見事に沈んだ。かからない。待つ時間をどんどん長くするが、それでものらなかった。「わかってる。チヌじゃないんだ・・・。」気が付けば、時刻は16時をまわっていた。次も外道という諦めが支配するなか、どこかで一投毎に次こそチヌという期待を持ってしまう微妙で複雑な心境の釣りだった。結果は残念だったが、長竿釣りの未熟さがでたと思った。結構準備したつもりだったがそれでも準備不足だったし、シラサが大きいというおばちゃんのウソ情報によるハリの選択ミスをカバーできなかったり、臨機応変さもなかった。もう1回やれば、もう少しましな釣りができると思ったのが、当日の唯一の収穫だった。

釣果:企画倒れ