7月22日(金) 千歳(曇り時々晴れ)
釣行日の前日、がじろうさんから昼上がりで千歳で6枚の釣果をあげたという連絡をもらった。たまたま、予定が空いたので気晴らしに千歳に行くことにした。当日は3時に起床し、釣り場にむかった。到着は4時50分。前日、船頭さんは釣り人は私だけと言っていたが、着くともう一人の釣り人が。がじろうさんだった。という訳で、久しぶりに二人で釣りができることになった。5時過ぎに、さっそく4号筏に渡してもらう。「おそらく楽勝」との予想で釣り始めた。ところが、アタリがでない。「まあ、1,2時間したら反応がでるだろう。」そして、その2時間が経過したが、がじろうさんに微妙なアタリが2度でただけで、私の穂先などは微動だにしなかった。「潮が流れないからか・・・。」
8時、しびれをきらして筏裏に移動した。朝に少量、イガイを撒いておいたポイントだ。落としこむと当日初めて、微細なアタリがでる。なかなか押さえないので、頃合いを見計らってあわせてみた。空振り。「今のは?」今度はややサイズを小さくしてイガイを落としこんだ。すると着底後すぐに、コツと強いアタリがでた。穂先を下げて、送り込んで次のアタリを確認することなく、適当にあわせた。「お!かかった。」ドキッとする引き込みはなかったが、今シーズン初めてのイガイでのチヌが釣れた。
同じポイントに再び投入すると、すぐにまたモゾモゾ触ってきた。「潮も動いている。やっとスイッチが入ったか。」気が緩んだせいか、そのアタリは早アワセではずしてしまった。でも、おそらくその時の私は爆釣を確信して、ほくそ笑んでいたと思う。そして・・・。アタリはなくなった。「なぜ?」9時を過ぎても、気配はない。そこで、昔はがじろうさんと二人でよくやった「筏代わりの術」をすることにした。9時半、新しい釣り人を船頭さんが3号に運んで来られたのを機に、1号に代わった。「さあー、ここにはチヌがいるかなー」しかし、筏代わりの術は成功よりもはるかに失敗が多いのか、過去の経験。今回も失敗だった。「今日はあかんな〜、がじろうさん。でも、がじろうさんが来てくれたおかげで、楽しくやれてるけど。」
時刻は11時になった。すると突然大きな音が響きわたった。音がした方向を見ると、海面に見たこともない大きな波紋が見える。「なんだ?え、なに。」若干の恐怖を感じながら、海面を見つめていると前方の筏付近に大きな背びれが突き出てきた。「うわ、イルカや!初めて野生のイルカをみた。」イルカ出没付近の写真を撮ってみた。
しばらく後に見回りにきた船頭さんに尋ねると、「昨日の昼頃から、湾内に入ってきたそうだ。」がじろうさんの帰ったあとだった。釣れないなぞが解けた気がした。「そら、あんなのが回遊してたら、あかんわ。」そうは思ったが、4号では1枚釣れた。もしかしたら、はぐれチヌが食うのではという淡い期待を持って釣り続けた。ただ、アタリがでなければ14時でやめようと決めた。それからがんばること1時間強、今度は筏の10メートル左にイルカが突然出没。その姿を見たときに、諦めた。「ずーと筏周辺をまわってるんや。」更に予定を繰り上げて、12時半納竿とした。当日は釣りとしては、散々だったが、がじろうさんと話しながら、穏やかな時間が過ごせた。それだけで十分満足した。おそらく一人でこういう状態だと、やるせない気持ちになったと思う。がじろうさんと13時過ぎに別れ帰路についた。
実は当日、すぐに釣りに行けたのは、あらかじめ休みをとっていたからだった。それは釣りのためでなく、息子の野球観戦のためだった。中学最後の大会の2回戦・3回戦だった。ところが、前日の初戦で負けてしまった。序盤で勝負を決められるチャンスが何度もあった。それを逃して、ワンチャンスを生かされての逆転負けだった。野球の試合としては、よくある話し。ただ、2年半の彼の努力を見ていると、胸が苦しくなった。車を運転していると、どうしても後悔が頭に浮かでくる。「せめてもう少し勝たせてやりたかった。いい試合をさせてやりたかった。」負けて引き上げる息子の姿が蘇った。彼は前をじっと見て歩いていた。チームメイトが泣く中、泣き虫だったその目には大粒の涙はなかった。たぶん、泣けるまでいかない試合だったのだろう。帰宅してからも、試合のことも部活のことも何も言わなかった。私も振り返るのはやめようと思った。最後の最後で、自信を持ってスイングできるようになった。野球は大好きになった。それだけでいい。縦貫道に乗る頃、そう総括することにした。
釣果:1枚(38p)