3月22日(木)   大丹生(曇り時々雨)

 休みが取れたので、釣りに行きたかった。一週間程前より予報が良くなるのを期待したが、前日になっても予報は一日中雨、昼からは風も吹くらしい。諦めようかと思ったが、予報の中に惹かれるものがあった。それは前日に強雨が降ることだった。濁りが入って釣れそうな気がした。結局、連絡を入れ行くことにした。当日は5時に起床し、10分ほどで着替えをすませて、外へ出た。風が強く、雨も結構降っている。荒れる舞鶴湾が目に浮かぶ。「やっぱりやめよか・・・。うーん・・・まあ、行くだけいってみるか。あかんかったら、早朝ドライブということで、帰ってこよう。」ところが、舞鶴に入ると意外に風がない。「来てみるもんやな。」大丹生到着は7時。雨も降らず、風もない、穏やかな中で出船した。この調子なら釣りはできそうだと思った。そして海は期待通り、濁りが入っている。茶色というか、黄土色だ。ここまで濁ると嫌がる人もいるかもしれないが、私は好きだ。

      

 たっぷり牡蠣ゴミを撒いて釣りを開始した。1時間もすると明確なアタリが出始めた。最初の2,3回は、集中してアワセを入れたが、何か違うことに気がついた。穂先が深く入りかけると戻る。そして、またあたるのだが、なかなかとられない。「カレイかアナゴ、もしくはヒイラギか・・・。」そして10時頃、やっぱりカレイが釣れた。しかし、外道の活性は冬とは思えないくらい高い。「そのうち、チヌもあたると思うけど。」ところが期待に反して、チヌアタリはでない。「あかんか、チヌはおらんのか・・・。3月中旬を過ぎて大丹生でほとんどチヌ釣ったことないしな。」外道のアタリはその後も頻繁にあったので、諦めず、コンスタントに撒き餌を続けた。変化もなく時間だけが過ぎていった。「全然寄らない・・・。あと考えつくのは、牡蠣漁師さんの作業しているところに投げることくらいかな。」その漁師さんは、9時頃から、4メートルほど離れた筏で作業をされていた。

      

 作業が早く終わるのを待ったが、その漁師さんは作業を終える気配がなかった。12時頃になると天気が悪くなり、強い風が吹き始め、筏が押されて移動した。「もしかしたら、漁師さんが牡蠣ゴミを撒いた場所が、自分の左横ぐらいにきてるかも。」釣り座を立って、左の筏方向に投げてみた。あたらない。もう一度餌を代えてさらに隣筏方向へ。小さなアタリがでる。「うん?外道?」すると間髪入れず、穂先がスーと入った。「うぉ」かからなかった。「今のアタリは・・・。チヌっぽい。本当にチヌなのか・・・」もう一度投げる。あたらない。もう一度。「あかんか・・・、チヌだとしてもはぐれチヌか・・・。」また元の釣り座で再開。外道のアタリがでる。「はぁ~」

 時刻は12時45分になった。風も止んで、筏が元に位置に戻った。もうやることが思いつかないので、筏裏に行って漁師さんにできるだけ近いところでやってみることにした。筏の隅に移動して、1メートルほど遠慮がちに投げると、漁師さんがこちらを向いて、「撒き餌になるのか。潮はそっちに流れてるけど」と言われた。嫌な顔をされずにすみ、一安心。そして、餌が着底した。一呼吸するとコツコツと小さなアタリ。餌が殻から切れてしまった。しかし、穂先からはまだ多少牡蠣がハリに残っているのがわかる。「外道の正体確かめるか」するとたぶんあたらないだろうと思っていたのに、何かが触ってきた。そして、すぐにクィと穂先がお辞儀。「かかった。えーえー、何!チヌか。」カレイでは絶対ない強い引き。「えー、チヌちゃうん!」ところが半分くらいでばれた。「なんやったんやろ。引きからしてチヌ。でも、ポン級アイナメの可能性もある。」すぐに釣り座に戻って餌を付けて、もう一度移動して、今度は漁師さん方向に3メートルくらい投げた。すると着底するとすぐにアタリ。「かかった!」必死で巻き上げると、上がってきたのは40㎝オーバーのチヌだった。「じゃあ、さっきバラしたのもチヌか。」
 
      

 牡蠣を付けて再び投入。即アタリで39㎝。急いで元の釣り座に戻って、魚をスカリに入れて、牡蠣を付けて、戻って投入。今度は良型45㎝。筏の上を行ったり来たり。またも釣れる。4連発。「なんぼでも釣れる。恐るべし、牡蠣作業。」

      

 ところが、ここで漁師さんが作業終了。漁師さんが帰ったところに5連発を確信して投入。アタリがないと思ったら、巻き上げるとハリない。「着底までにフグにやられたか・・・。」すぐにまた投入。着底してもアタリがない。餌を代えて再び投入するが、あたらない。「いない。」考えられるのはスクリュー音で逃げたということだ。「すごい学習効果だ。二度目のスクリューは食事終わりの合図か。しかし、逃げたと言ってもあれだけいたのだから、すべてということはないやろ。近くにいるはず。そして再びアタリがでたのは、4枚目を釣ってから35分後の13時50分だった。隣の筏の真ん中アタリだった。「ポイントが数メートル移動したが、やっぱりいた。」

      

 その後、15時までの1時間強で更に4枚追加。9枚目もいい型だった。取りあえず二桁は釣ろうと思った。

      

 ところが、意識すると釣れなくなる。9枚目を釣ってから30分アタリ無し。もしかしてまた動いたか。食べられる餌は、牡蠣作業よりはるかに多く撒いた。元の釣り座で直下を狙う。するとすぐにアタリがでる。のったが、釣れたのはカレイ。「あ~あ」

      

  やっぱり投げるしかないと思い、また隣筏を探る。アタリはない。全然ダメ。9枚目が釣れてから1時間アタリがない。16時再び、釣り座で直下を狙うとしばらくしてアタリ。「よし、10枚目や。」自分が撒き餌した釣り座で10枚目を釣った。緑に輝くきれいな大丹生らしいチヌだった。ちょっとうれしかった。

     

 雨は降り続き、風も少し出てきたので、片付けに入った。ふと見ると穂先がものすごい勢いで海面に突き刺さっていく。慌てて戻ってあわすが、かからなかった。今日一番のアタリだった。「やっと、チヌが寄ってきたか。たぶん、移動したり、投げなかったら、16時に時合いになり、貴重な1枚を釣った、という釣りだったんやろな。」そう思った。16時半納竿。チヌは帰りの船の中で9枚は放流した。1枚が腹を見せて沈んでいったのが、残念だった。「ちゃんと空気ぬいたと思ったのに。食べる以外は元気で放流しないと。」陸に上がって、渡船場に荷物を置いて一旦車に戻ると、すぐにカラスが舞い降り、帰りに食べるためにとっておいたパンをあっという間に盗まれた。破られたビニール袋がおちていた。

 当日の感想であるが、いつぞやの上佐波賀に続いて、牡蠣作業が習慣化したチヌの寄りのすごさを見た。それと3月下旬の大丹生にこんなにチヌがいることを、通い続けて20数年目にして発見した。

     

釣果:10枚(46・45×2・43×2・42・39.5・39×2・36)