10月19日(土)   千歳(曇り後雨)

 八月の末、間一髪のところを助けてもらった井上渡船さんに、小倉山荘のおかきをもってお礼に訪れた。約束の6時に到着するとすでに船頭さんは待っていてくれ、すぐに出船となった。天気は雨予報であったが、曇ってはいるが雨の気配はなかった。3番筏に乗って釣りをスタートしたのは6時20分頃。最初はオキアミでやった。無傷で上がってきたが、天気もよいので気長に団子を打って、魚を寄せようと思った。その後30分もするとオキアミには反応が出始めるが、コーンやサナギは取られない。それでもオキアミコーン、オキアミサナギ、サナギ、丸貝などをいつものようにローテーションした。

 釣り初めから1時間強が経過した7時半、それまで全くかじられもしなかったサナギにアタリがでた。予想してなかったので、団子アタリかと一瞬迷ったためにあわせたが遅れ、手応えはなくサナギの皮だけが上がってきた。「何?カワハギ・・・。」次もサナギに微細なアタリで餌がなくなった。再び、サナギを投入。着底し、穂先をじっと見ていると、いきなり穂先が突き刺さり、あわす前に手元に重量感が乗ってきた。すぐに大物だとわかった。強烈に引くので、チヌじゃないのかと思ったりもしたが、徐々には巻き上げられる。魚はやや前方に出ているので、やり取りとしては楽ではあった。上がってくる魚を見ようとやや前方に気を配りながら巻いたが、あと数メートルのところで腕の力が弱まり、竿の角度を保つのが苦しくなった。たぶん、それが魚にも伝わったのか、方向を急に変えて筏下に向かってきた。ラインが海面とほぼ平行になっている。大丹生なら間違いなく牡蠣ロープの餌食になっていたが、千歳はロープがないので、そのまま巻くと水面下20㎝くらいのところに、筏下から突然チヌが現れた。無事にすくったが、久しぶりに息があがっていた。「やった。年無しや。」チヌは太ってもいないが、痩せてもいない。冬場の大物は重いだけのときはあるが、こういうスマートな体型だから泳力もあり、桁違いに強かったのかと思った。激闘のためか、口からはずしたハリは曲がっていた。

  

 早々の年無しに今日こそはアタリの多い日になると期待した。アタリは続かなかったが、まだ勝負は先だと思って打ち返した。釣れてから1時間が経過した8時半、再び穂先が舞い込んだ。あまり大きくはないが、2枚目が来たので、やっぱり数が釣れる日になると感じた。ただ、2枚目の魚は、なんとなくチヌらしくなく、細かく竿を叩いた。そして上がってきた魚を見て、びっくりした。マダイだった。とはいっても33㎝だったが、舞鶴ではなかなか釣れないサイズだった。

 

 チヌではなかったが、うれしい外道だった。ところが時間の経過とともに、外道の活性も落ち、オキアミでもやれるぐらいになってしまった。「たくさん釣れると思ったのに・・・。」釣れないとどんどんアタリを求めて、柔らかい餌になってしまう。でも先ほどのチヌはサナギを食ってきた。いるチヌの好みにあった餌は何かわからない。そう思い、11時、丸貝の落とし込みをやってみた。すると着底後、すぐに小さなアタリがでた。突っつくような感じだったので、外道が触っただけかと考え、押さえ込みのアタリを待ったが、反応はでなかった。回収すると500円玉くらいの丸貝が完全に潰されていた。「全くアタリがなかったのに、チヌいるやん。」糸を手繰り上げ、再び丸貝を落とし込んだ。するとまたしばらくするとチクと小さくあたった。穂先を凝視するが、アタリはない。回収すると今度も潰され、食いちぎられそうになっていた。「うーーん」久しぶりのアタリを連続して逃し、焦りを感じた。「次こそは」と見極めようと集中したが、3度連続はなかった。実はアタリを逃した要因には11時前くらいから風が出て、筏が揺れていたのもあり、11時過ぎからは雨も降り始めた。

 

 降りしきる雨の中、釣り続けた。オキアミで誘うと流石に見つけた外道が釣れるが、釣れたのはエソやハゼもどきなど気力が低下する魚達であった。結局更に雨の勢いが増した15時に納竿した。魚は釣れなかったが大雨の影響で海中に漂っていたプラスチックゴミは大量にすくった。チヌは釣った時、多少の出血があり、弱れば持って帰ろうと思った。しかし、出血はすぐ止まり、帰りには人影に反応するようになっていたので放流した。最近は犬(名前はサボ)を飼い始め、生物を見ていると何でもサボに見えてしまう。放流した一瞬は何が起こったのか理解できずに水中に定位し、その後すごい勢いで海底に消えた年無しが何となく愛らしく感じてしまった。

 当日であるが、私が納竿して帰港する際も、沖の鉄板の釣り人は竿を曲げていたので、魚の食い気がないわけではなかった。ただ、秋チヌサイズが群れている雰囲気はなく、たまたま回ってきたチヌをいかに仕留めるかだと思った。そう思うと丸貝を潰したチヌを逃したのが残念だった。

釣果:1枚(52)