10月12日(木)   大丹生(晴れ)

 1ヶ月前の再現を狙って、大丹生の2号に上がった。釣り開始は6時半。まずはコーンで始めた。いきなりのチヌGETはなかったが、穂先に反応がでるので、幸先は良い気がした。しかし、7時頃からアタリがなくなった。コーンが上がってくる。朝一は潮が悪くてもアタリはあるが、この時間からの沈黙はやばい気がした。しかし、8時頃から徐々に外道アタリが戻り始めた。大丹生の朝の時合いは9時半頃から10時位なので、それに向けて徐々に活性が上がってくれることを願った。その後、コーンが取られるだけでなく、おそらくカワハギだとは思うが、サナギに穴が開き始めた。時刻は8時40分、コーンの3粒掛けを投入すると30秒ほどでアタリが出始めた。小さなアタリだが、コーンは3粒あるので、焦らず待った。大きなアタリはないが継続的に触ってくる。しばらくすると若干抑えたように思えたので、思い切ってあわせた。「かかった!大きいぞ。」チヌだとは思っていなかったので、まずは重量感に驚いた。魚は猛烈に突っ込んだ。巨大魚はラインを出してしまうと調子に乗る。竿で耐える。「2.5号はそう簡単には切れない。」ただ、30秒ほどで違和感を感じた。強すぎる。全然巻けず、ひたすら耐える。これがチヌなら釣ったことのないサイズだと思った。かといってエイの引きとは違った。「何やこれ?」底付近での力勝負は1分ほどは続いたように感じた。そしてその後、徐々に魚が上がり始めた。底に向かって強くは引くが、何とか半分以上は上がってきた。魚の姿をとにかく確認したかったので、あと少しで正体が確認できると思うと、心が高鳴った。その瞬間、魚が一気に突っ込んだ。その瞬発力は青物のようだった。そして・・・、ハリスが吹っ飛んだ。悔しいとか残念というより、呆気にとられた。「無理・・・、完敗。でも何で毎回毎回、こんな展開になるんや。」

 3分ほど放心して、再び団子を投入した。アタリはでない。数投するが同じ。「大バラシだし、魚が警戒したか・・・。まあ、釣れる時はまた寄ってくる。でも、さっきの魚は何だったんだろう。エイとは違うと思ったが、エイは一回しか釣ってないから断言はできない。エイはコーン食うのか・・・。」など考えながら、団子の追い打ちをしようとしたその時、穂先が突き刺さった。慌てて竿を握ってあわせた。遅れたと思ったが、かかった。それなりの重量感を感じる。今度はたぶんチヌだと思った。しかし、一瞬のやり取りのあと、ハリがはずれ、天を仰いだ。竿が突っ込んだとき、竿尻が浮いたのを掴んだので、上手く握れずアワセが緩かったのが原因だと思った。よくある失敗だった。チヌを逃がしたことも痛かったが、それ以上に時合いの9時半を前にして、2回のバラシのダメージを考えると、後悔が大きかった。その時、ふと思った。今はユーチューブの時代だが、自分の釣りを動画撮影していたら、結構視聴者が面白がる釣りなんだろうなと思った。毎回、これでもかという失敗をする。自分を客観的に見てこの後もドラマの続きを演じると考えれば、バラシのショックも和らいだ。

 その後、魚の活性はどんどん上がり、コーンはもたなくなり、サナギの2個掛けを中心に釣りをするが、しばらくすると皮だけになる状態となった。これだけサナギに魚が反応するときは、チヌも必ず釣れると思ったが、なかなかチヌの反応がでないまま時間は経過した。上がってくるサナギの状態を見ても、すべてカワハギが食った跡のようで、切れて上がってきたことはなかった。思うように釣りは展開しないが、天気は秋晴れであった。「もしかして、よかったのは天気だけパターンか・・・。」

 

 いつでも釣れそうな状況は続いたが、チヌアタリはでない。こういう状況だと丸貝やイガイで粘った方が良い気がしたが、サナギにきっとアタリがでるだろうという希望が捨てきれなかった。イガイはよく探せば、10個くらいは見つかったとは思うが、探さなかった。時間はその間も経過し、12時になり、13時になった。「うーーん、だめか・・・。」

 14時、納竿された4号の釣り人を乗せた船が筏前を通った。船頭さんが「この人、4枚釣ってるよ。」と言われた。返事に窮したが、こっちは0枚なので、少し情けなかった。納竿までは2時間も無いので、4枚は釣れない。釣りは勝ち負けでもないので、4枚釣ろうとは思わなかったが、釣りたい気持ちはあった。「もう少し、がんばるか。」そしてこのころから、大きな魚のスレアタリがでるようになった。14時40分、外道のチョンチョンアタリは見送ってきたが、暇だったのであわせてみた。すると手応えがあった。チヌのような引きだ。半信半疑で上げるとそれは小型のチヌだった。とにかく1枚釣れたことはうれしかった。

  

 釣れたチヌを見るとハリは腹に掛かっていた。あわせたアタリはチヌアタリではなかったので、驚きはなかったが、スレでかかるということは近くにいたということだった。「やっぱりいるんや。それならなぜ1度もアタリがでなかったのか。もしかしたら、外道アタリがチヌアタリだったのか・・・。いや、長年チヌ釣りをしているから、今まで見送ってきたアタリはチヌじゃない。じゃあ、なぜ・・・。」頭の中で疑問がぐるぐるまわった。考えるとだんだん自分が信じられなくなり、試しに外道アタリと思っていたのをあわせた。一瞬、間が空いてかかった。巨ボラ猛ダッシュ。バレて鱗が上がってきた。「やっぱりあのアタリはボラか。」「じゃあ、このアタリはどうや!」またもや巨ボラをバラした。2連発底での大バラシで、せっかく良くなってきた雰囲気もぶちこわしになった。「今日はあかん。」時刻は15時だった。「ボウズ逃れの1枚も釣れたし、やめようか。」という思いが浮かんだが、それよりもユーチューブ的に考えると、最初にこけて最後にドラマがあるかもという予感が強かった。どのみちあと1時間で納竿なので、やることにした。

 ユーチューバーになった気持ちにはなり、釣りに前向きにはなったが、魚が散った現実は残っていた。サナギがあまり突かれずに上がりだした。サナギが残るならということで、15時30分、久しぶりにコーンを付けて投入した。すると、着底後しばらくしてチョンチョンクッと穂先が曲がった。すかさずあわした。「かかった!おおおーー、強いぞ。ほんまにドラマが起こった。」しばらくのやり取りの末にチヌをすくった。釣れそうな気がしたことが現実になり、久しぶりに笑ってしまった。

  
  

 チヌは写真とサイズを測ってすぐに放流した。いろいろあったが、この1枚で気持ちよく納竿した。もう一度、今日のような状況で勝負してみたいが、最近の秋は短い。次来るときもまだサナギに反応してくれるといいのだけど。

釣果:2枚(45.5・31)