7月3日(月) 山弘(晴れ)
午前4時前、いつものように京都縦貫道を走っていると暗闇の中、道路の真ん中に立つシカに遭遇。幸い速度も80㎞くらいであったので、追い越し車線に急ハンドルをきって何とか避けた。まさか高速道路にシカがいるとは思わなかったので、冷や汗をかくと共に後続車にシカがはねられないことを祈った。山弘渡船に到着したのは5時半前、しばらくすると船頭さんが現れた。もう船頭さんは80歳を越えている。船頭さんが元気でおられる間にあと何回これるであろうか・・・。乗った筏は2号。前日は2人で4枚釣れたらしい。型は聞かなかったが、チヌがいるならそれでいいと思った。筏を見渡すが、ほとんどイガイはない。取りにくいところにわずかにあったイガイをとるが、一握り程度であった。海は大雨の影響で結構濁っている。水面下30㎝ほどで見えなくなる。釣れそうだった。
釣り開始は6時前。到底ハリにつかない米粒程度のイガイをパラパラ撒いた後、しばらくして親指の爪大のイガイを落とし込んだ。私の感覚では小さすぎるイガイだったので、あまり期待はしていなかった。ところが、着底後しばらくしてチョンと触った。穂先を凝視していると急に穂先が引き込まれた。やや向こうアワセ的だったが、手応えはある。バレないか気になったが、なんとか最初の突っ込みはかわせた。40㎝前後のように感じたが、十分だと思った。慎重に上げた。もうほとんど上がってきているが、水が濁っているので見えない。「さあ、久しぶりのチヌや!」と思った瞬間竿先がはねた。愕然とした。「まじか、えーまじか、なんで、あーなんで」独り言が続く。なんでこんなことになるのか、残念でならなかったが、気を取り直して、釣り続けた。その後の1時間で、中層で1度ゴンという衝撃でとられ、さらに底でも1度、穂先が突き刺さった。底でのアタリのときは、割れたイガイが付いて上がってきた。2回ともくわえて走ったアタリだったように感じた。開始1時間で3回もアタリがあった。イガイさえあれば間違いなく釣れる日であることはわかったが、イガイがない。ハリにささるイガイはあと15個位あるので、落とし込みだけならあと1時間や2時間はやれるかもしれないが、それ以上は無理であった。
中途半端な時間から団子釣りをするより、イガイに反応があるうちに、団子に切り替えて、チヌを寄せようと思った。7時から団子釣りにする。ところが1時間経過しても、サナギにも、コーンにも、オキアミにも反応がない。チヌは必ず周囲にはいるのにアタリがないのは、チヌの食性がイガイにあるということだと思った。対面の筏には多少イガイの塊があるのが見える。「今日は他に釣り客はいなかった。おじさんに頼んで、船をつけてもらってあの塊をとればよかった・・・。しまったな~」ため息ばかりがでる。せっかく購入した餌がただ餌に歯が立たない。朝一バラシのため、余計にむなしさを感じた。
時刻は9時になった。オキアミコーンをハリス団子で投入。しばらくすると1度、小さいアタリがでたが、その後アタリはでない。予想ではオキアミはとられていると思ったが、回収するとオキアミはあるがコーンがなくなっている。コーンがなくなることはなかったうえ、オキアミがあることを不思議に思い、今度はコーンの3粒掛けで投入した。するとしばらくしてアタリが出始めた。継続的に何かが触っているのはわかった。アタリに飢えていたので、あわせたい気持ちがあったが、外道でも確実にかけられるアタリまで待とうと見ていると、やがて徐々にアタリは大きくなり、穂先が水面に入るくらいまで待ってあわせた。手応えはあった。あせりと後悔のなかできたチャンスをのがしたくなった。「これバレたら、今日は立ち直れない。」魚は底よりも中層で強い突っ込みをみせてひやひやする。もうほとんど水面のはずなのにやはり見えない。ラインの先を目で追いながらやり取りを続けた。すると水面ギリギリで突然魚が見えた。予想を遙かに超える大きさだった。「早くすくわないと」と思い、あせる。そして突っ込まれる。「頼む」・・・。すくった。久しぶりに興奮で息が上がった。年無しだと見ただけでわかるサイズだった。
この1枚で気が楽になった。チヌは年無しであった時点で放流しようと決めたので、今度はお土産釣りをしようと、いくらでもいる小アジを釣ってぶっ込み釣りをした。かかり釣りの方は連続してアタリはでなかったが、1度サナギが切れていたり、チヌの気配はあった。10時半、年無しがスカリで浮いてきたので、空気を抜いていると、短竿が筏から半分落ちた。あわてて戻ってあわせるが、切れたハリスが上がってきた。「うーーーん、なぜ切れた。わからないが、完全に引き込まれた。チヌやろうな。」大きなアタリを逃して残念だったが、もう一度集中した。すると今度はぶっ込み竿のドラグ音。継続して出ないので、かかり釣りを続けた。しばらくしてから、ぶっ込み竿を上げるが、すでに障害物に持ち込まれ根掛かりしていた。「ヒラメかスズキやったかも・・・。」
それからは何のアタリもない時間が過ぎた。12時半、コーンがたまに1粒なくなったりするので、3粒掛けにすると明確なアタリがでた。上がってきたのは33㎝のチヌだった。突然の1枚だったので、釣った感はなかったが、複数枚釣れたのはよかったかなと思った。しかしこの1枚のあと続くわけでもなく、チヌの気配も全く感じなかった。ただ、朝の状況を考えるとチヌはいるように思っていた。「なぜ、コーンもサナギも触らないのか。」アタリのないまま1時間半が経過した14時、朝の残りの小粒イガイを付けてハリス団子で投入した。すると着底後すぐ小さなアタリがあり、回収すると取られていた。「イガイは触るんかい。」次もイガイを付けると、これまたすぐアタリがあり、しばらく待つと穂先を押さえた。良型がかかった。いい型がかかったこと自体はうれしかったが、「やっぱりイガイか」というがっかりした感情もあった。根気よく打ち返した成果を感じられない1枚だと思った。やがて、魚が上がってきた。「まあまあの型GET」と思ったが、水面に姿を現したのは、とぼけた奴だった。
35㎝くらいのイラという魚だと思うが、初めて釣った。こんなのがいるのかと思った。次もイガイを付けた。イガイには毎投アタリがある。しばらくして再びかけた。かけた直後からすさまじい突っ込み。「巨チヌか!」しかし、すぐに違うとわかった。連続しての突っ込みが朝に釣った年無しの引きと比較にならない強さだった。魚の引きとタックルがあっていないのがわかる。水中のものとやり取りしているのではなく、屋外で直接竿に2㎏のオモリを下げているようだった。絶対上がらないとは思ったが、立ち上がって右に左に下に突っ走る魚と3分ほどやりとりし、あと少しで姿が見えるとこまで粘ったが、結局筏下に突っ込まれて切れた。見てないのでわからないが、カンダイか石鯛くらいしか、頭には浮かばなかった。さらに、その後、またイラが釣れた。竿下にカンダイやイラがウヨウヨしている光景はあまり想像したくはなかった。
15時、イガイでまたもや魚がかかった。今度はあまり強くない。上がってきたのは黒っぽい30㎝強のチヌだった。やっぱりチヌもいたんだと思ったが、イガイで釣ってもあまり充実感はない。1時間の間、イガイで十分楽しんだので、サナギかコーンで釣ろうと思った。そして、3時25分、やっとサナギで同型のチヌを釣った。そして、この1枚の後、アタリが遠のいた。16時に納竿した。初めてのことが多くあり、楽しめた1日だったが、これも地球温暖化の影響かと思うと複雑だった。魚の数の何倍もプラゴミをすくうのが、せめてもの海への恩返しだった。
釣果:4枚(52.5・33×2・32)