4月4日(金)    愛知川(曇り)

 トシさんとの釣行で、ゴム長が崩壊し捨てて帰ってきて以来、渓流には行ってなかったが、ゴム長を新たに購入し、久しぶりに渓流に行くことにした。自宅を6時半頃出発し、30年以上前に初めて渓流に連れて行ってもらった思い出の愛知川を目指した。まずは愛知川の上流の茶屋川を目的地にした。この川は何度も行ったので、渓相は覚えている。しかも、30年前と違いすごく良い道が三重に向けて開通しており、簡単に林道に入ることができた。時刻は8時半ごろだった。林道は車1台は余裕で通れる幅はあるが、当然のことながら舗装はされていない。地面が掘れて、大きめの石が転がっている。天気は曇りであたりは薄暗く感じた。目的の入川地点はまだ先であったが、怖くなってきた。「パンクしたらどうしよう・・・。脱輪したらどうしよう。」昔は道があるなら、進めばなんとかなると思っていたが、足がすくんでしまった。奥に進むことを諦め、最も手前の入川口から入渓することにした。整備された階段を降りていくと川にでられた。久しぶりにみた渓流の水はきれいだった。まずは目の前の流れを釣ってみたが反応はなかった。渓流は釣り上がることが基本だが、上流を見てまたも戦意が低下した。

  

 大きな岩がゴロゴロしている。傾斜こそないが、この岩の上を歩くのは体力的にもきついし、何よりすべって足をぐねりそうだった。仕方ないので、下流を少しだけ攻めて、早々に諦めた。私の覚えている茶屋川の渓相はもっとなだらかで、ここまでの巨岩は少なかったイメージがあり、そこに行きたかったが上流への道が怖いからどうしようもない。車にもどって今度は、愛知川のもう一つの支流である御池川に行くことにした。一度、永源寺の町に戻り、御池川方面に向かった。御池川の道は舗装されており、道自体への心配はなかったが、傾斜のある道だった。御池川の記憶は、釣りやすいところもあるが、全体的に竿が振りにくい狭い川のイメージがあり、上がり始めてしばらくするとこれまた不安になり、小さな集落を越えてすぐの入川地点のから入ることにした。緩やかな斜面を降りて川に降り立った。

  

 今度の川は釣り上がることはできそうだった。早速、目の前の流れを流してみるが、反応はない。1時間弱はいろいろ流してはみた。浅い瀬が続いており、まだアマゴが出てきていないように思えた。この時期のポイントとなるちょっとした深みのある場所がなかなかないので、それっぽい流れを見つけるには、結構な距離を移動する必要があり、今度のポイントも諦めた。車に戻って、さらに御池川の上流を目指す選択肢もあったかもしれないが、体力的にすでに疲労した。仕掛けを流せる深さがあり、木を気にせず竿が振りたいと思った。山から下りて、永源寺のキャンプ場付近の開けた場所でやることにした。ここは民家も見えるし、幹線道路も見える。不安感はないが、底石には藻が付いて居るところもあり、深みは砂底で、アマゴが釣れる雰囲気はなかった。30分ほど釣ると風が強くなってきた。時刻は14時をまわっていた。「もういいか。諦めよう。」竿をたたんで、駐車場に向かった。入川地点の上流側を見るために少し、川岸を歩いていると町から流れ出ている小さな流れにある堰堤が目に入った。

   

 この時期、堰堤は誰もが狙うポイントだった。しかも駐車場の広場のすぐ横。ただ、堰堤と呼ぶにはあまりにしょぼかったので、もしかしてみんなスルーしてるかもと思って釣ってみることにした。ミミズを放り込むと、何と当日初めてのアタリがあった。上げると魚がかかった。ところが取り込む途中、空中で落ちてしまった。体を高速で震わせなかったので、アマゴではないことはわかったが、何の魚かわからなかった。もう一度、投入するとまたもやアタリがあったが、かからない。さらにもう一投。アタリがあるが、今度は待つ。十分待って上げると魚がかかった。上がってきた魚は意外ときれいなニジマスだった。

       

 こんなところに放流しないだろうから、なぜ釣れたのかはわからなかった。その後、もう1度アタリがでたが、追加はできなかった。お土産ができてよかったと思った。堰堤をあきらめ、最後に堰堤の水が流れる護岸の細い流れの唯一の小さな落ち込みに仕掛けを入れた。

   

 するとすぐに釣れた。「えー、こんなところにいるんや。これは竿抜けポイントかも!」そこからニジマスの入れ食いが始まった。4,5匹抜き上げ途中で落としたが、このポイントだけで8匹釣った。粘ればまだ釣れそうだったが、食料を確保したので、これ以上釣って仕方ないのでやめることにした。放流ものとはいえ、最後の最後でポイントを見つけたことがうれしかった。

 

 駐車場に戻ると年配の方(後からわかったが83才)が話しかけてこられた。愛知川漁協の話やご自分の病気の話、仕事や趣味の話を次々とされた。83才での渓流は危険すぎると思ったが、好きなことをやって生きられたら、それは長く生きることと同じくらい大切なことだと感じたので、話を聞き続けた。そのうち、釣果を見せてくれたり、ヤクルトも頂いた。30分以上は楽しくお話を聞かせてもらったが、少し寒くもなってきたので、お別れすることにした。その方はまたお会いしましょうと言ってくれた。もう一度くらいは、きれいなアマゴを釣りに愛知川に挑戦してみたいと思った。

釣果:ニジマス9匹