12月6日(水)     長浜(曇りのち晴)  大潮

 今回は長浜のカセに行くことにした。理由は一昨年よい思いをしたことが忘れられなかったからだ。長浜の手前の筏群で初めて釣れたため、狭くて時には浸水してくるカセが妙に好きになった。当日は4時に起床、4時20分頃自宅を出発した。朝走っていると、いろんなことを考える。社会のこと、仕事のこと・・・、いい方向に向かっているとは思えない。でも私の力ではどうにもならない。そんなことを考えるとむなしくなる。そして・・・「問題のない社会などないのだから、その中でやれることをそれぞれがやることが大切。」と、いつもの結論に達する。

 「命削って働いて築く経済発展か・・・、重要なんだろうけど、それが・・・。」そんなことが頭に浮かんだころ黒鯛釣具店に到着した。餌は団子(小)、丸貝、サナギ、シラサ、オキアミ、合計3300円。いつものようにマスターと短い会話をかわした後、早々に店を出た。車に乗って走り出す。時計を見ると5時過ぎだった。「そんなに先を急いでどうするの・・・、今日の出船は6時半。釣りを通して広がる関係が安らげる居場所なのに・・・」今日は何とか釣果を出して、もう一度帰りに店に寄ろうと思った。

 長浜には6時に到着した。晴だと思っていたら、小雨が降っている。久しぶりにカッパ着て、準備をする。出船は6時半過ぎだった。刈又に6,7人、私は3番カセに、カセ前の筏には鯵釣りの方が3人、向こう側のカセに長竿の方が2人おられた。「さあーー、がんばるぞーー!うん・・・リールがなーい。なぜ?カッパを出したときにトランク内に落ちたのか?でも、トランク内じゃなかったらどうしよ・・・。あのリール高いし。予備のリールでできるけど。うーーん、とても心配だ。」不安にさいなまれていると、前の筏の釣り人も忘れ物をされたようで、刈又帰りの船を手を振って呼ばれていたので便乗することにした。リールはやっぱりトランク内に落ちていた。結局7時からの釣り開始になってしまった。まずは8Bで丸貝の落とし込み。リールから糸がスムーズにでない。雨のせいかと思って、手で引き出しながら落とし込む。反応なし。何度か落とし込みを続けるが、どうも朝一ボッコーンがあるとは思えない。さらによく穂先をみると竿を巻くように糸がガイドを通っている。仕方ないので、針を切って通しなおす。なおしてから数投目。今度は道糸がカセ下に入る潮に流されて、カセ下の突起物にからんだ。ひっぱると途中からあっさり切れた。「ほんまにも〜。」嫌になったので、団子釣りに30分も経ってないが切り替えることにした。「よしいけ、サナギハリス団子!穂先がお辞儀しているぞーー。おおっと、糸が底までなーい。」結局4000円のバイキングを付けることになった。

 海の状況であるが、団子を投入するとすぐにシラサやオキアミにはアタリが出だした。チャリコが連発で上がる。フグやカワハギも多少いるようだ。外道の活性は高い。更に8時半頃にはボラが登場した。チヌももうすぐかと思ったが、サナギや丸貝には一切アタリはでない。「どうも、日本海では必ずしもボラとチヌはセットでないようだ。前回も前々回の長浜もそうだったし。」せっせと打ち返すが、状況は変わらない。上がるのはボラ等外道の活性ばかり。離れた場所を探りに行きたいが、カセではそうもいかない。遠投も考えたが、終始潮が流れ、重いオモリに代えない限りうまく探るのは難しかった。直下を釣り続けた。戦意が低下した12時過ぎ、初めて丸貝に極小アタリ。上げると丸貝が食いちぎられていた。「よーーーし、チヌの登場や!時合いか。」期待したが、アタリはでない。完全にチヌの食った跡だったが、それすら自信が持てなくなってきた。「もしかしてフグか?」13時頃からは団子の投入量を減らした。「ボラを寄せすぎるのはよくないかも・・・」と思ったからだ。14時、小さなアタリが放置したサナギにでたのであわせてみた。「うん?かからなかったけど・・・」サナギハリス極小団子投入。ボラはあたってこない。しばらくするとアタリ。今までのボラの団子アタリではなく、サナギをさわる細かなアタリだ。穂先がお辞儀したところであわした。「乗った!間違いなくチヌの引きだ。やった。」十分な抵抗を見せて上がってきたのは30p後半のチヌだった。「やった!」うれしかった。「よーーし、今度こそ時合いか。ボラが去ってチヌが来たか!」サナギハリス団子投入。着底後すぐに、激しいアタリ。しかし、今度はボラだ。ボラをかけたらチヌが逃げると思って見送る。団子が切れたが餌はある。「やっぱりボラか。」右に流れる潮にのせて、2メートルほどついていく。限界のところで、ひったくるようなアタリ。かけられなかったが、チヌだと思った。「やっぱりボラに負けて、その周囲にいるのか。」それ以後、明確なアタリがでなかったが、チヌの群れが多少はいると感じた。団子投入回数をさらに減らしながら、落とし込みを中心に釣り続けた。20分に1回ほど、微妙なアタリがあった。

 15時20分頃からは団子を打たず、サナギの落とし込み。15時半、あわせられるアタリ。のらない。その7,8分後、またもやアタリ。「穂先が少し入ったのになあ〜。早いのか・・・。それともチヌじゃないのか・・・。」なんとなく気配が強まっているようには感じた。はっきりさせようと思って、大きめの丸貝に代えた。この丸貝にアタリがなかったら、また団子を投入しようと考えて、丸貝落とし込み。「ボラは邪魔だが、チヌがいるとしたら団子に寄ってきたことは間違いない。団子もたまには打たないと。」そんなことを考えながら穂先を見つめていると、着底後しばらくして、前アタリの後すぐに押さえた。「チヌアタリや。よっしゃ、かけたぞ!」手応えはあった。かけてすぐ、チヌは右に突っ走った。穂先が海に入った状態で耐えるが、リールが逆回転する。猛烈な勢いだったが、右には障害物はないので糸を出した。ひっぱりあいになって、偶発的に切れるのがこわかった。「すごく強いぞ・・・。大丈夫かな。」やっとの思いで態勢を立て直すが、何度も強烈に突っ込む。必死だ。1分ほど経過しただろうか、がじろうさんを思い出した。「この間の長浜では、がじろうさんはいとも簡単に巨チヌを取り込んでいた。こんなに必死にやっているのだから、きっととれるはずや。」ちょっと落ち着いてやりとりができた。やがてチヌは3メートルほど右に浮いてきた。「年無しや!」ゆっくりまいて静かに寄せようと思ったが、最後の抵抗を見せチヌはもう一度潜った。落ち着いて対応し、再び浮いたところをすくった。「やったー!でか。ホームランや。これで店に寄れる。」デジカメを出して、写真を撮ろうとするとシャッターを押したところで、充電切れ。「あ〜あ。どうしよ。なんてこった。仕方ないな。」しばし唖然としたが、携帯で撮った。「きたない写真やな。まあいいや。」

 16時過ぎ、釣りを再開。巨丸貝ハリス極小団子投入。着底後すぐアタリ。貝がでかいのか食い込まない。少し小さめに代えて、同じくハリス団子投入。明確なアタリがすぐでる。「のった。・・・・・何か小さいぞ。」手応えからすると20p台か。しかも途中でバレタので、チヌだったのかも疑わしかった。今度はサナギハリス団子。連続して団子を投入したせいか、ボラも戻ってきた。チヌは周りにいる気もしたし、多少浮いている気もした。まだ釣れる雰囲気は十分あったが、迎えの船が刈又に行くのが目に入った。近くの釣り人も片づけている。「え?4時半終了か?」後しばらく試せば、状況が把握できそうだったが、終わることにした。ちょっと後ろ髪を引かれる思いはあったが、年無しも釣れたので、あきらめることにした。迎えに来られた岡本のおじさんに聞くとやっぱり終了は17時だったが、陸に上がるとすぐがじろうさんが来てくれたのでやめるタイミングは正解だった。デジカメが充電切れでになってしまったことを話すと、がじろうさんがわざわざ家まで取りに帰り写真を撮ってくれた。その後、5時15分頃まで、がじろうさんと話した。当日はいろいろあったので、まとまりのない断片的な話になってしまったが、がじろうさんはいつものようににこやかな表情で聞いてくれていた。

 長浜を出発後、白杉に釣行されていたマーやんに電話した。黒鯛釣り具に寄ることを伝えるとマーやんも付き合ってくれるとのことだった。一路黒鯛釣り具を目指した。18時半過ぎ到着。マーやんはすでに到着されていたが、店は残念ながら閉まっていた。「ありゃ〜、今日は朝から寄るつもりだったけど、最後までハプニングやな。」マーやんにチヌを見せながら、当日の話を聞いてもらっていると、すごい勢いでもう一台車が入ってきた。「店閉まってますけど?」ところが降りてこられたのは釣り帰りの黒鯛のマスターとそのお友達だった。なんとういう偶然。でも、「よかった。」その後、4人でしばしの釣り談義の後、マスターからのおみあげを助手席にのせ、帰路についた。天気を含め、予想外のこともあったが、充実した一日になったと思った。

     

釣果:2枚(53.5・37.5p)