9月8日(土)   大丹生(曇り)    若潮

 仕事が忙しく、釣り場を考える余裕がなかった。いつものように予約することなく、大丹生に向かった。黒鯛釣り具で団子(中)、丸貝、サナギ、シラサ半杯、氷、合計3600円を購入した。大丹生には5時過ぎに到着。すると暗がりの中、一台の車が。はっきりとは判別できなかったが、見覚えのある車。「がじろうさんや!」5時に目がばちっとさめたので、来てくれたそうだ。自分が釣りをするわけでもないのに、仕事前に大丹生まで・・・。がじろうさんとしばし釣りの話しをする。がじろうさんの今度の出撃は週明け。結果が楽しみだ。夜が明けてきたので、おじさんを起こし、5時半頃がじろうさんに見送られて出船した。今回は沖側の千歳寄り2台目の筏を選択した。

 まずはイガイの落とし込みから始めた。アタリ無し。朝一から本当は釣れて欲しいのだが、今年の大丹生ではそれは難しいだろう。6時10分より団子を投入する。丸貝、サナギ、イガイをローテーションしながら釣るが全く反応はない。シラサでやるとチャリコ釣れるが、それも散発的で、シラサが上がってくることもある。今までの経験から、大丹生では団子を打って9時半から10時半くらいにチヌが釣れることが多いので、根気よく打ち返した。「しかし、反応ないなあ〜。表層にも何にもおらん。」9時、探り釣りをするため、筏の裏面に行ったついでに寝てしまった。9時20分、がじろうさんからのメールで目覚め、再び釣り始めた。全く気配はない。10時になると小アジの群れがやってきたようで、表層がざわついている。その後、2つ離れた筏の釣り人が、コノシロを上げた。「う〜ん、ちょっと潮が変わったか?」特に大きな変化と呼べるものではないとは思うが、あまりの退屈さ加減に根気が萎えてもだめなので、敢えて前向きに考えることにした。反応のあるシラサを使いたい気持ちはあったが、もし時合いなら確実に餌の残るサナギ、丸貝で打ち返した。

 10時30分、丸貝ハリス団子投入。5分は放置しただろうか、ふと穂先を見ると反応が。コン、コンコン、コン。一瞬目を疑った。「え、餌は確か丸貝だったよな。何で反応がでてるんや?」気配すら感じない中での突然のアタリに頭は混乱したが、体は反応していた。グン、確かな重量感。「なんや、根掛かりか?いやアタリがあってあわせたはずや。」頭はまだ混乱していたが、手は勝手に動いていた。2,3回巻き上げる。「チヌや!間違いない。それもいい型。」やっと少し冷静に戻ったが、今度はリールが空回りした。「何や!?」あせって一瞬リールに気をとられた。しばらくしてリールは戻り、再び巻く。魚はまだついている。かけた時の感触では40p前半ほどのチヌのような気がしたが、ものすごく強い。「やばい。強いぞ。年無し級か!全然巻けない。」魚は筏下に潜ろうとする。「耐えろ!」糸を出さずに持ちこたえようとする。そして・・・・、軽くなった。ハリス切れだった。「くそー、くそ、くそ、くそーーーー」頭を抱えたくなるほど悔しかった。リールが空回りした時、一瞬糸がたるんだ時間があった。おそらくその時すでにフリーになった魚が筏下に潜り、ロープをまいたと思う。強烈な引きに耐えているときも何か違和感を感じた。「せっかくの大丹生での大型だったのに。」今年一番の悔しさと後悔でいっぱいになった。「なんで、空回りするんだよう〜・・・。」

 針を結ぼうとすると手が震えていた。「あんまりにも突然やったしな・・・。仕方ないか。でもツキがないな。」まだ時間も早かったので、気を取り直してがんばる。「大丹生に大型がいるのはわかった。次こそ。」しかし、その後は予想通り、アタリはない。幸い曇っていたので、集中力は保てた。「絶対1枚釣るぞ。」3時になると団子に反応が出始めた。「やっと、ボラの登場か。もしかしてチヌも夕方には釣れるかも。」状況が好転したかに思えたが、3時40分頃に丸太のようなボラを1本釣り上げると、4時にはボラはいなくなった。結局6時半まで粘ったがアタリは1度もなかった。おばさんに迎えに来てもらい、夕闇迫る海を走っていると寂しさを感じた。満足できる釣果が上げられれば、心地よい夜風なのかもしれないが・・・。

 当日は私以外にも6人の釣り人がいたが、チヌはほとんど上がっていなかったように思う。西田渡船のお客さんに限れば、小チヌ1枚とバラシ1回だったそうだ。今年は釣れても釣れなくても連続して同じ釣り場にほとんど行っていない。雰囲気を変え、1回1回の釣りを新鮮に楽しむことに重きを置いている。だが、大丹生でよい釣りをしたいというこだわりは強い。魚影の薄さと時合いの短さは相変わらず厳しいものがある。でも、以前より可能性はでてきた。ムキになってしまうことが怖いが、通ってみようかなと思った。


釣果:大丹生で大型を釣りたい。