5月26日(火)     長浜(晴れ)

 オッチャンさんの釣果を見て、雁又に行こうと思った。もともと雁又は好きな釣り場なので尚更だった。最近、釣れてないので素直にオッチャンさんの釣られた7番に乗ろうと思って電話をするとすでに予約が入っているとのことだった。仕方ないので日曜日に年無し2枚を含んで7枚釣れた5番にした。爆釣の後は好きではないが、自分が釣れていない時は実績重視。前日の夜、がじろうさんも予定が空き、6番に乗られることになった。状況からして雁又周辺には明らかにある程度の魚がいる。「魚がいさえすれば、がじろうさん、釣るしな〜。しかもアタリ餌はイガイ・・・。」プレッシャーを感じる。当日は3時半過ぎに自宅を出発し、黒鯛釣り具で丸貝、サナギ、そして使う予定はなかったが団子(小)を購入した。5時15分頃、長浜に到着。しばらくするとがじろうさんが来られ、5時40分過ぎ、二人で出船した。船頭さんによると5番は月曜日も長竿で4枚上がったらしい。「連日釣果か・・・。これをよいと考えるか、悪いと考えるか・・・。」

 筏に到着した。がじろうさんはあっという間に準備をして釣り始めている。がじろうさんのイガイ爆発が始まる前に釣らないとあせりそうだったので、早々に用意して第1投。もちろん、餌はイガイ。しばらくして細かいアタリが出始める。「きた!」緊張が走る。小アタリ連打であわせた。「よし、のった!・・・あれ〜?」上がってきたのはでかいウマズラだった。「こんなん、おるんか。」第2投も小アタリがでてあわせるが、どうも違うみたいだった。第3投は着底してもアタリはでない。上に誘い上げてゆっくり落とし込む。すると落ち込みで食ったのか、穂先がそのままスーと海面に吸い込まれた。「よし、かかった!今度はチヌや。」上がってきたのは30p中ごろのチヌだった。時刻は6時5分。気分は楽になり、いやな予感を振り払うことができた。しかし、連発するかと思ったがその後は、それらしきアタリはでない。イガイはほとんどが小粒で、ちょっと大きめを探すのに手間がかかった。面倒くさがって小さいのをさすとフグが食ってきた。サナギは音もなくとられる。すごいフグの活性だった。でも、フグが元気ということは、チヌもいずれ釣れる気がした。こまめにイガイを撒いてステージ作りに励んだ。7時、今度はがじろうさんの竿が曲がった。上がってきたのは私と同型のチヌ。「チヌの活性はあるということか。がんばろ。」7時半、「連続してきませんね。」とがじろうさんの声。確かにそうだった。勝負は9時半頃かなと勝手に予想した。

 8時、忘れ物を取りに陸に戻っていた7番の釣り人が筏に帰ってきた。すると早くもがじろうさんが転進の決断。「えええー、もうですか!」今回は雁又でやる気でいたし、転進するにもあまりにも早い見切りのような気がした。迷ったが、がじろうさんの勘にかけることにした。わずか2時間で好調雁又を放棄し、東の筏に移った。「さあ、イガイでイレパクだ!」と思ったが、やや不安。船頭さんも雁又をすすめていたし。さっそくイガイを落としてみた。反応なし。急ピッチでイガイを撒きながら落とし込み。反応はでない。試しにサナギを落とし込むとボロボロにはなるが、雁又ほどのフグの活性はない。やがてサナギも原型を残すように。ますます不安が高まる。「やっぱり失敗かな〜。船頭さん、呼んでもう一度戻ろうか。でも、それはな〜。」そうこうしていると9時半、後から来た釣り人を船頭さんが雁又へ運び、5番に降ろされた。これで、戻る目はなくなった。「ここでやれと神様が言っているのか。」ふと考えた。好調雁又のイメージが強かったが、7枚はのぞいたら、多くて4枚程度。それなら今から7時間以上あるなかで3枚釣ればいい。なんとかなるさ。」そう思うと落ち着いてきた。またイガイの釣りは集中力が続かないので、自分の好きなサナギハリス団子に代えることにした。幸い、雁又とは違いサナギは残る。前向きに考えを切り替えると無心に釣りにむかえた。サナギハリス団子には細かいがアタリがでる。大抵は上げるとfフグにボロボロにされている。アタリ無く無傷の時もある。ウグイがいるのか、時々アタリがあっても無傷の時もある。いろいろ変化があるので、想像しながら釣りに集中できた。

 11時半、着底直後に押さえるアタリ。あわしたがのらない。「うん?」次ぎも細かいアタリの後、少し穂先が長くお辞儀した。また失敗。「でも、今のアタリはかけられそうやった。なんでもいいから、やっぱりかけたい、」次ぎもサナギハリス団子。着底から集中する。細かいアタリが出始める。コンコココン、クイと穂先が入った。グゥンと竿に重量感が伝わる。「うん?かかったけど・・・。根掛かりか?」しかし、非常に重いが巻き上げられる。「うん、本当に魚か?オッ、やっぱり引いている。魚や。でも、重いけど全然強くないな〜。この引きは、確か・・・、巨ボラ。」とにかく魚の顔だけは見ておこうと、丁寧に巻き上げる。やがて海面下に白くて長い影が。「やっぱり。」と思った次ぎの瞬間、魚が上を向いて上がってきた。「うお、年無しや!」はっきり言って、あまり期待してなかったので、うれしいというより、びっくりした。やはり年無しはひと目でわかるほどでかい。移動が正解になって、ほっとした気持ちと大好きなサナギに変更して釣れたのでうれしかった。

      

 その後ももちろんサナギを続けた。「団子に寄っているはず。」1枚釣れたことで、まだまだ期待が持てると思った。12時、やはり細かいアタリを我慢して待つと、穂先がクッと押さえられた。フグやウグイのアタリと違って、最後はあわせられるタイミングがあるアタリだった。「よし、かかった!これもなかなかの引きだ。」結構な抵抗をみせて上がってきたのは40オーバーの良型だった。



 この1枚で十分満足したが、あと5時間ある。まだ何度か時合いもありそうだった。大釣りの可能性を感じた。しかし、期待に反してその後はチヌらしきアタリはでない。餌のかじり方もチヌっぽいものはない。時間がゆっくり経過していく。途中、潮が相当きつく流れて釣りづらい時もあったが、根気よく打ち返した。3時半を回り、少し諦めムードになってきたが、がじろうさんは夕方の時合いがきそうだと言っている。「がじろうさんの勘はあたるから。釣れるのかも・・・。」16時電話がかかってきた。少し話しをしながら、ふと穂先に目をやると道糸が右から左に動いている。「???、魚きてるやん。」あわてて右手でアワセをいれた。「お!やっぱり、かかっている。」すぐに電話を置いて巻き取りにかかるが、この一瞬の動作の間に完全にチヌに先手をとられた。すごい勢いでひかれ、竿を持ったまま、ずるずる左に移動した。 尻手ロープの限界まで移動してなんとか勢いをかわして巻き上げる。なんとか巻き上げる。



徐々にチヌは上がってくる。「2枚目の年無しや!」頭の中で巨チヌがイメージされる。 筏の下には走っていないので、いけると思った。ところが筏の端から前方にロープが出ていることをがじろうさんが言ってくれた。「そうか、やばいぞ。」そう思った瞬間、巻けなくなった。「しまったー。どうしよ。」仕方ないので、糸をゆるめると魚の引きが再び伝わってきた。「よし、いけるか!」と思った瞬間切れた。「うーーん。くそーーー。なんでなんで。大きかったのにーーー。」いくら悔しがっても後に祭りだった。先手をとられたこと、ロープの場所を把握していなかったこと、油断が敗因だった。とても残念だった。その後も、もう1枚を狙って釣り続けたが、再びクライマックスは訪れなかった。

 陸に上がって陸揚げされて雨水のたまったカセの中に魚を入れて写真をとった。小さなチヌを放流し、帰路についた。私の後に5番に上がれれた釣り人も2枚釣られていたが、筏を代えて十分に楽しめたのでよかった。今年は山弘より早くに長浜の手前の筏が釣れてちょっと不思議だったが、翌日魚をさばいて、少しなぞがとけた。私は釣れたチヌは産卵後だと思っていたのだが、2枚とも乗っ込みチヌだった。筏に戻ってきたというより、立ち寄ったのか、居残りだったと思う。やはり、ねらい目は雁又で、手前は食いが止む気がした。でも、今回はがじろうさんの決断のおかげで、よい釣りになった。満足した。

釣果:3枚(52.5・43・36.5)