6月10日(日)    大丹生(曇りのち晴れ)

 できれば次の日が休みの日に行きたかったが、あいにく土曜日は出勤だったので、この日の釣行となった。場所は大丹生。本当はカセに乗りたかったが、予約が入っているとのことだった。当日は午前3時過ぎに自宅を出発し、途中黒鯛釣り具店で団子(小)、オキアミ、サナギを購入し、5時半頃大丹生に到着した。おじさんに挨拶して、すぐに出船した。乗った筏は沖側の一番千歳寄りの筏だった。すでに真ん中の列の櫻井渡船の筏には2人の釣り人、そして同じ沖側の列に西田渡船の釣り人1人がおられた。おじさんによると、数日前に沖の一文字で9枚釣れたらしいが、筏はさっぱりとのことだった。しかし、櫻井にはお客さんがいるということは、筏でも釣れているのかなとも思った。

 まずは前回同様、イガイの落とし込みから始めた。櫻井渡船の筏にはほとんど付いていないようだったが、乗った筏には大量に巨大イガイがあった。そして巨大イガイの間に手頃な大きさのがある。取り出すのが面倒くさいが、餌には困らない程度にはある。しかし、反応はない。1時間ほどやるが、ピクリともしない。オキアミに変えてみる。しばらくして上げてみるとそのままだった。「こら、何もおらんわ。」イガイの落とし込みを諦めて、団子を投入。それでもオキアミもとられない。3時間が経過して、2度あわせて上がってきたのは、ハオコゼと海ケムシだった。「冬の海やん・・・。」睡眠に入った。9時放置した竿を上げてみると、オキアミがまだ付いていた。再びオキアミを落としこんだ。動かぬ穂先をみていると、何をしてもダメのような気がしてきた。半ばやけくそでイガイを撒いた。それでも気がすまなかったので、団子を数個投入した。その濁りを見ていると、突然穂先が軽くククッと入る。「うん?」思わずあわすと何かがかかった。「ハオコゼでもフグでもない。クンクンと引いている。何?チヌ?」しばらくして魚が上がってきた。「お!チヌや。でもちっちゃ。」釣れたことに、ホッとはしたが、拍子抜けの大きさだった。「でもこのサイズなら、きっとまだいるぞ!」やる気がでてきた。

 しかし釣りとは思うようにならないもので、全然アタリが続かない。でも10時頃になれば後続部隊もきっと到着するだろうと思った。時刻は10時をまわり11時になった。そしてアタリもないまま12時。ハオコゼを2匹釣った以外、餌が完全になくなることもない。「ひどい・・・。」昼寝に入る。15分ほどで起きて、やるも変化なし。14時に団子を打ち尽くした。その後ひたすらオキアミを落とし込むこと30分。「もしもし、おじさん。和田ですけど、今日はもうやめます。」

 陸に上がるとおじさんが、荷物を運びを手伝ってくれながら、「最近、力が弱っての〜。それに根気も全然のうなった。もうあかんな〜。」と弱気な言葉を口にした。「大丈夫、おじさんはすごいよ。まだまだ元気でいてもらわないと!」そう言った。以前、昼で帰る釣り人の気持ちがわからなかったが、今では自分がそうしている。根気なら私の方がないかもしれない。「おじさんは本当に元気だ。そして、おじさんが元気じゃないと大丹生に来る意味もなくなる。」そう思った。

 晴れて気持ちの良い天気のなか、帰路についた。時間が早かったので、途中の山間の村では田んぼで農作業をしている人を多く見た。すべて年配の人ばかりであった。一生涯の仕事として農業をされてきたのだろうか。私はあの年齢の時、何をしているのだろうか。やれることがあるのだろうか。それよりもしたいことを見つけられるのだろうか。そんなことを考えながら窓からの風景を見つめた。

              

釣果:1枚(30.5p)