2月11日(土)    白杉(曇り時々晴れ)

 長浜にもう一度行こうと思って電話すると、週末は休業とのことだった。迷ったが山弘渡船に行くことにした。船頭さんによると月曜日に長竿で3番と4番でそれぞれ2枚上がったらしい。当日は小雪のちらつく中、4時30分頃自宅を出発した。縦貫道を走って、前回同様、和知から高速に乗った。高速は一面真っ白だった。晩のうちに降った雪で、表面を覆っているだけでスリップなどはしないと思ったが、雪は怖いので緊張する。慎重に運転するがつくづく思う。「家で寝とけばよかった。暖かくしてゆっくり寝られることって、幸せやな。」寒い風景は、戦意を低下させる。

 黒鯛釣り具店では、団子(小)、オキアミ、サナギ、シラサを購入した。山弘で牡蠣を分けてもらうことになっていたが、海の状況がわからないので、長浜使用でも対応できるようにした。吉田より先は道の脇に雪が残り、道幅が狭くなっているところもあったが、7時頃に渡船場へ到着した。用意をして、もう一人の釣り人と共に出船した。出船のころには風も止み、釣りに集中できるコンディションになっていた。筏群につくと、私は4番に降りた。もう一人の方が2番に、その後3番にも釣り人が来られた。まずは牡蠣の落とし込みから始める。何の反応もない。1時間ほど牡蠣でやるが、反応がないので、団子釣りに切り替える。団子を打っても状況は変化せず、オキアミもとられない。「何にも魚類がいないで、これは・・・」しかし、前回のような強欲な夢を持っているわけではなかったので、それほど焦りはなかった。「きっと1,2回はチャンスがあるやろ。とにかく、いろんなことをやってみよう。」そう思った。探り釣りをやったり、オキアミで誘ったり、団子を打ったり、落とし込んだり、思いつくことを根気よくやったが、牡蠣に2回何かがあたっただけであった。オキアミは1度もなくならなかった。これぞまさしく真冬の海だと思った。11時、早くも3番の長竿の釣り人が納竿された。私も今日は厳しいと感じていたが、止めるという選択肢は浮かばなかった。でも、あさっり止めて、ぶらっと舞Iの街を歩いて、銭湯にでも行けるようになりたいとも思った。

 11時半過ぎ、がじろうさんから電話がかかってきた。当日の寂しい状況を話していると、久しぶりに牡蠣に反応がでた。乗らなかったが、がじろうさんからの連絡で流れが変わることがよくある。電話を切って、もう一度、牡蠣を落とし込んだ。しばらくするとコツッとアタリがでた。穂先を見つめる。穂先はじわじわお辞儀していった。十分曲がったところで、あわせた。「お!」来たかと思った。しかし、びくともしない。「ちぇ、根掛かりかよ。」竿を大きくあおると、ゴミが浮いた。その後はグリグリ巻き上げた。「ロープか、牡蠣がらか。」と思って海面を見ていると上がってきたのはアナゴだった。「相変わらず、舞Iのアナゴはでかいな〜。」年無しアナゴザウルスだった。「でも、これからかも。チヌよ、来い!」

 その後、活性は確かに上がった。ただし、微々たるものだった。30分に1回ぐらいの間隔でオキアミの頭がかじられたり、牡蠣がすわれたりした。到底チヌとは思えないアタリだった。しかし、なんとか1発と思って粘った。16時、2号の釣り人も上がられた。私はまだ粘った。団子を突く魚がでてきていたが、決して刺し餌のオキアミ、シラサ、サナギには触らなかった。「絶対、チヌじゃない・・・。」17時まで、集中して釣ったが、結局釣れなかった。

 当日は釣り方にも迷いがあったし、釣り場も感じるところがなかった。調子が悪い時のパターンだと思った。ただ、何となく今回の敗戦で、自分なりに海の状況が想像できるようになったように感じたし、次回、釣れて大喜びするイメージも沸いてきた。無駄な撃沈ではなかったと思う。「また、冬の海にがんばって出かけよう。きっと釣れたらめっちゃうれしい。」そんな場面を想像して、楽しめること自体が幸せなのだと思った。

釣果:釣り道具を持って旅をしたい。