2月25日(土) 大丹生(雨)
長浜に行こうかとも思ったが、1月の半日の釣りで、乗っ込み前の時期の大丹生を見切るのは忍びなかったので、大丹生に行くことにした。ただ、今回釣れなかったら、諦めようとも思っていた。週末は土日ともに天気予報がよくなかったが、雨ではあるが風がなく、気温が高い土曜日に行くことにした。「漁師合羽があれば、雨はこわくない。」
当日は5時前に自宅を出発し、黒鯛釣具店でボケ20、石ゴカイ500円を購入し、釣り場に向かった。大丹生に着いてしばらくすると、ニコニコしながらおじさんが登場した。おじさんに最近牡蠣上げをした筏に乗せて欲しいと言うと、おじさんは岸よりの筏に乗せてくれた。この筏では、いつもは沖向きでやるが、今回は岸向きに釣り座をとり、7時半頃より釣りを開始した。まずはおじさんからもらった牡蠣を数個潰して撒き、牡蠣を落とし込んだ。予想通り無反応。石ゴカイ、ボケも試すが、反応はない。牡蠣ゴミがないので、筏についているイガイなどを踏み潰して撒いた。魚の気配はない。8時半ごろから、左隣の筏で漁師さんの牡蠣作業が始まった。「う〜ん、あっちに寄ってしまいそうや・・・。」気が散る。すると9時20分、牡蠣に当日初めてのアタリがでた。コンコンコン、クッククと穂先が入る。一瞬考えた。「今あわせれば、かかる確率は5割くらいか。とられるの覚悟で、8割くらいの確率になるまで待つか・・・。どうする。」数少ないチャンスだからこそ、確率を上げるため待つことにした。すると少し間があいて2度目のアタリがでた。「オラ!」あわせより、気持ち遅れて手ごたえがあった。「うん?でもかかってるぞ。なんだこの重量感は・・・。」よくわからないが、とにかく重い。「カレイか?それにしては重過ぎる。チヌにしては突込みがない。何?」とにかくグリグリ巻き上げた。しばらくして、水面下に見えた魚にびっくりした。「カレイや。でかーー。」自己記録を更新する43pだった。「これがチヌやったらな〜。」
状況が変わるかと思ったが、それっきり変化はない。冬場の釣りは寄せて釣るのではなく、いるのを釣るイメージを持っている。このカレイも時合いになったので口を使ったのだろう。「ところで、チヌはこの筏についているんか・・・」いろんな場所を丁寧に探ってみることにした。まずは私の釣り座からすると左後ろ、ちょうど対角線になる場所が、隣の筏の牡蠣作業に一番近かったので試した。ハゼがボケをくわえてきたので、活性があるかと思ったが、後は無反応。ロープが半分くらいなかったので、筏の中も探ったがだめ。もちろん筏の周囲も探った。そして再び釣り座に戻ってがんばるも、餌もかじられない。「あ〜〜。」朝から雨はしとしと降り続き、さすがに体力は消耗し、寒い。「水金地火木土天海冥」という言葉が口からでてきた。そして、気分は滝に打たれる修行僧と化した。「水金地火木土天海冥、水金地火木土天海冥、水金地火木土天海冥、水金地火木土天海冥・・・・・・・・・・・・・・・・」しかし、この寒さを吹き飛ばす呪文も2分ほどであきてしまった。
「どうするか・・・、牡蠣ゴミもないしな。イガイはもう何回も撒いたし。でも、全然反応はない。カレイは釣れたが、撒き餌が効いているとは思えない。それにどう考えても牡蠣作業には勝てない。」11時半、釣り座を牡蠣作業に最も近い場所に移動することにした。30分ほどは漁師さんと対面で釣り、12時ごろに漁師さんが引き上げてからは、隣の筏に向け、牡蠣を遠投して狙った。1度だけ、小さなアタリで牡蠣が取られた以外、何もあたらない。13時、立ち上がって大丹生の村を見た。昼間なのに夕方のように暗かった。「万策尽きた。」
もう一度、最初の釣り座に戻った。理由は道具を並べやすかったから。「あと3時間くらいかな。ほんまに釣れへんな〜、大丹生は。」釣り座にイガイを踏み潰して撒いた。14時20分、当日、2回目のはっきりしたアタリがでた。ボケにコンと強くあたった。20秒ほどして穂先が抑え込まれた。のった。「大丹生のカレイは裏切らない。」上がってきたのは予想通り30pほどの良型カレイだった。「なんで、大丹生にはチヌがおらんのやろ。俺がチヌなら絶対大丹生に住むけど。釣り人はこうへんし、安全や。それに牡蠣の漁師さんは4,5人いるから、毎日牡蠣ゴミがいくつもの場所で撒かれる。筏にもイガイやらがどっさりや。パラダイスやんか。」そんなことをむなしく考えた。「悲しい・・・」
時刻は14時45分になった。放置していた牡蠣を右に少しずらすと、しばらくして、もぞもぞしたアタリがでかかと思うと、グゥーと穂先がお辞儀した。あわせるとのった。「3枚目か。」と思った。重量感は先ほどのカレイなみ。ただ、時々もぐろうと抵抗する。「うん?」そして上がってきた魚を見て、びっくり。「お!!!チヌや。チヌおったぞー!」この時期にしては小型だが、満足した。「やっぱ、チヌおったんや。よかったー。」たとえ小型でも、大丹生の1枚は他の釣り場の大型よりうれしい。青光りする大丹生らしいきれいなチヌだった。
「突然釣れることあるんやな〜。ふらふらと1匹で泳いでいたんかな。」写真を撮ったりするのに手間取ったが、7,8分後に釣りを再開。再開後2投目でコツと小さいが鋭く何かが突っついた。集中する。またコンとあたる。「こい!」と思ったが、餌が外れてしまった。「今のはなんやったんやろ。まだ、いるのか。」期待したがその後はアタリがでない。15時10分、移動して筏の中に牡蠣を投入。アタリなし。釣り座に戻ろうとした時、ふと右隣の筏との間が気になった。牡蠣をチョイ投げした。穂先から糸が出ていくのをボーとみていた。着底と同時にゴツゴツと大きく穂先が揺れた。「何?今のはアタリか。糸よれがガイドにひっかかったのか?」とにかく穂先を下げるとそのまま穂先がお辞儀していく。「えーー、これは絶対アタリや」若干あわてながらもあわせた。「おお。これはチヌや。さっきより強いぞ。」あわせが甘かった気がしたので、2度あわせを入れて巻き取る。上がってくるまでは、はずれないか不安だった。「よし!」すくい上げたチヌは良型で、複数枚釣れて大満足した。時刻は15時20分だった。
大丹生初チヌも釣ったし、良型もあがった。後は年無しを釣れば完璧かなと考えたが、心はもうそんな強欲なことは望んでいなかった。余韻に浸りながら、その後、16時45分ごろまで糸を垂らしたが、アタリはなかった。迎えにきたおじさんが「あかなんだか。」と聞いたので、「2枚釣れたで!」と答えると、とても喜んでくれた。私もうれしくなった。その後の雨の中での片づけも気にならなかった。そして17時20分、おじさんにお礼を言って帰路についた。大丹生に挑戦するきっかけができる釣行となって本当によかった。「次もがんばるぞ。」
釣果:2枚(47.5・36p)